劇団上田「10ピース」

劇団員の服装が印象的で、 前から気になっていた劇団だった。 全員、白いワイシャツにサングラス、黒いズボン。 劇団員の正装なんだろうか、 チラシに掲載された劇団員は皆同じ恰好をしている。 その濃いぃ雰囲気に惹かれて 王子小 … “劇団上田「10ピース」” の続きを読む

劇団員の服装が印象的で、
前から気になっていた劇団だった。
全員、白いワイシャツにサングラス、黒いズボン。
劇団員の正装なんだろうか、

チラシに掲載された劇団員は皆同じ恰好をしている。
その濃いぃ雰囲気に惹かれて
王子小劇場まで足を運んだんだけど、

上演された「10ピース」には
予想とは違う濃さがあった。


平和集会開催前夜の、深夜の公園が舞台である。
入れ替わり立ち代わり訪れる人の会話が
「平和とは何なのか」を観客に問いかける
・・・・・・という設定なのかもしれないが、

訪れる人が
霊媒師だったり殺し屋だったり麻雀狂いだったり、
内容はかなり古典的なギャグ芝居である。

場所が変わらず、
時間の流れが一定で、
話も順序良く進んでいく、っていう

「三一致の法則」もしっかり踏襲してるし、
役者の動きも大げさだし、
動きにくっついてる大声は

王子小劇場の高い天井にがんがん響く。
この劇場は声の反響がいいんだなあ、と思いながら
途中で耳を塞いだ。
金切り声を出す人なんて1人もいなかったけど、

この芝居小屋は
劇団上田の芝居には合わないような気がする。
「平和とは」っていう
大きなテーマを持ちながら、

登場人物の思う「平和」が今ひとつ嘘くさい気もした。
「平和って伝えるってこと」
「平和って休めるってことだろ」
「何も知らないのが一番平和なんだから」

正しい、と思う。
それぞれの人間がどうしてそう思うかも理解できる。
だけど急にそんなこと言えないだろ、
通りすがりの人間なんだから、

と思う場面も多かった。
小説家や殺し屋まで登場させてどうするのかな、
と思って見ていたら、

話は意外にちゃんと「平和」に向かっていく。
「家族が無事なことが俺の平和だ」と言う殺し屋と、
その殺し屋に家族を殺された女性のシーンは

個々人のささやかな平和を守りあう難しさを
象徴的に伝えていたように思う。
日本に銃を使った殺し屋なんて居るのかい?と

根本的なツッコミも入ってしまうような展開だけど、
家族の仇を打とうと拳銃を用意した女性が
結果的にその拳銃に撃たれ、

女性の倒れた公園に朝日が昇って
「平和集会」の幕を照らす。
最後は思い入れたっぷりの一人語りが沢山入って

なんだか「生きるとは何か」
みたいな話になってしまうんだけど、
役者陣の力量もあるので割に見応えがあった。
脚本家にとっても

考え甲斐のある題材だったと思うし、
説明台詞をもうちょっと削ぎ落としてから
また上演してほしい。


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