岡野宏文のアーカイブ
地点×KAAT「トカトントンと」
- 2012年2月22日 14:55
- 岡野宏文
◎トカトントンとドカドカドン
岡野宏文
虎は死んで皮を残す、人は死んで名を残す、などということを世間では太平楽な顔をして嘯いたりするわけだが、これは嘘だ。
といったって、せいぜい犬ばかりを飼ったことがあるくらいで内澤旬子女史のごとくかわいがって育てた豚の子をみずからの手でつぶして食するなんて芸当のできる動物好きでなし、虎のことは分からぬのだ。人である。人が死んで残すのは言葉である。もっといえば人は死して言葉だけしか残さぬ動物なのである。
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ユニットえりすぐり「乙女の祈り」
- 2012年1月11日 20:27
- 岡野宏文
◎乙女のあいのり
岡野宏文
乙女の祈りとはなんだろう。いや、それではいい方が違う。正確に言えば、祈っている乙女とはいったい誰だろうとどなたかにたずねたいのだ。
乙女なるものの祈りときた日には、憧れと絶望が猛烈に混濁して、クラインの壷のように胸中をでんぐり返っているのではあるまいかとわたしには思える。
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維新派「風景画-東京・池袋」
- 2011年11月23日 14:05
- 岡野宏文
◎最も東京らしい呪われた風景画を描く
岡野宏文
「風景は涙にゆすれ」とは、言わずと知れた宮沢賢治の魅力的な詩のワンフレーズであるけれど、涙にゆすれるような飛び切りの風景の発見こそ、いま私たちが力を注がねばならぬ肝要な営みの一つなのではあるまいか。
「見た目に美しい自然の景観」というのが「風景」というもののとりあえずの謂であると思われる。だが私たちが日々呼吸するぬくもりをまとった時間の中で、風景とは決して霧にかすんだ摩周湖や逆光の空に赤くはめ込まれた富士の肢体なんて洒落臭いしろものばかりではありえない。銭湯の番台に小銭を置く指先から匂う口紅の甘やかな横顔や、夜の裳裾がともしていくざわめく街角の千の眼も、誰恥じることのない風景の風上である。
風景はなまめかしいページをしまっている。
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NODA・MAP「南へ」
- 2011年4月8日 06:56
- 岡野宏文
◎分からないことにチクッとする自虐的嗜好への思慕
岡野宏文
野田秀樹の演劇は面白い。
野田秀樹の演劇は分からない。
このふたつのフレーズを上手に貼り合わせると、こういう命題が出現する。
世の中には、さっぱり分からないくせに飛びっ切り面白いものがある。
なかなか頼もしい言葉ではある。とくに演劇を愛し、志すものにとって。
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維新派「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」
- 2010年12月24日 16:30
- 岡野宏文
劇団 Ugly duckling「照準Zero in」
- 2010年5月21日 15:49
- 岡野宏文
◎ステキにもつれた劇世界 虚無の風、ひやりと背中を
岡野宏文
親というのはほんとうによく分からない。子育てにビジョンがないのである。
人様に迷惑さえかけなければどんな人間になってもいいからねなどと喋った舌の先すら乾かぬうちに「医者になれ」などと抜かすから油断が出来ない。なれるのか今さら、医者に、オレが。だいたい、なりたくともなれないのが医者という職業の世の常であるのは十二分に承知の上で、かかる矛盾した見解を涼しい顔で言ってのけるのは、そもいかなる神経のなす技であることか。
突劇金魚「ビリビリ HAPPY」
- 2010年3月12日 15:44
- 岡野宏文
◎サリngROCK の優美な凶暴さ
岡野宏文
今年も、年間の最低映画に贈られるゴールデン・ラズベリー賞が決まった。めでたく受賞してくれたのは「トランスフォーマー/リベンジ」であるが、なにより油断できない気にさせるのは、この映画が「当たった」という畏るべき事態である。巨大なレゴ・ブロックのごときロボットたちが、せわしくパーツを組み替えながらめまぐるしく変身してみせる、というか変身してみせるだけのこの映画は、映画を観ているというよりグラフィック・アプリケーションのデモ画面を見せられているような、侘びしくも場違いな気分を我々に味あわせる。にもかかわらず、その退屈を求めて映画館に人は詰めかけたのだ。世の中はまだからくりの手の内がすっかり透けた玩具がお気に入りらしい。2012年など飛んでもない。まだまだ人類は滅べまい。
久しぶりに、素晴らしくヘンテコなオモチャと出くわした悦びも持った。しなやかな筐体からいくつもの手足や頭が生えているくせに、どれを触るとどれが動くか想像のそとなのである。これにふれると……エッこっちが動くの! だったらこれだと……エエッなんでそれよ!とすこぶる振りまわされる観劇体験。突劇金魚の「ビリビリ HAPPY」、サリngROCK 作・演出である。
大型影絵芝居「スバエク・トム」(カンボジア)
- 2009年12月17日 22:34
- 岡野宏文
◎驚き、不思議、カンボジア 影絵芝居で神に逢う
岡野宏文
まだかなりわたしがコマかったころ、全校生徒を講堂に呼び集めて人形劇を見せたりする恐ろしいたくらみがたびたびあった。ものは糸あやつりである。演目はたいてい「アラジンと魔法のランプ」とか「イワンのバカ」とか、「肉体の門」なんかはなかなか来ないのであるが、まあまあ見てやってもいいかなというレベルのお題ではあるので、おとなしく腰を下ろすのであった。腰を下ろさないあまたのご学友たちは、上履きをぶつけ合っちゃ奇声を上げるという華やかないとなみにすっかりご執心であられ、実に幸せそうに見えた。人の幸せをむげにひねりつぶすこともあるまいにと思うものの、無慈悲な教師たちに頭などはたかれて彼らの幸福は泡とはじけていくのだった。
唐組「盲導犬」
- 2009年10月23日 22:08
- 岡野宏文
◎テント通いはとまらない
岡野宏文
こういう歌がございます。
犬を選ばば 書を読みて 六分の狭義 四分の熱
猫は美の生き物だから存在が本質なんであります。犬は情の生物ゆえに本くらい読まないとダメなのですね。
片方で犬のやつは、人類の最古にして最良の友と呼ばれたりしますが、奇妙なことにもう片方では犬なる文字のついた言葉にろくな手合いがないのであります。犬死に、犬ざむらい、犬畜生(なんと理を知らぬケダモノの代表選手)、負け犬などなど、犬儒派なんてのもあったっけ。
イキウメ「図書館的人生 vol.2」
- 2008年11月27日 23:51
- 岡野宏文
◎手に負えない、もっと大きなものと格闘を
岡野宏文(ライター&エディター)
超科学と呼ばれる一連のものごとが好きなんである。
心霊、オーパーツ、超能力、UFO、古代文明は宇宙人が作った説、火星の人面岩、スカイフィッシュ、ミステリーサークル、などなどしこたま。信じているのではない。信じているならむしろ、つぎはぎだらけであるにしろ科学の冷静さの方に軍配があがる。
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