横浜にスタジオ機能中心の舞台芸術拠点 公設民営の「急な坂スタジオ」

 公共施設を舞台芸術の拠点にする動きが最近見られますが、横浜にまたユニークな公設民営の文化施設が誕生します。横浜市野毛山の「急な坂スタジオ」。大小6つのスタジオを整備し最長2か月までの長期利用を可能にして利用者側の要望に … “横浜にスタジオ機能中心の舞台芸術拠点 公設民営の「急な坂スタジオ」” の続きを読む

 公共施設を舞台芸術の拠点にする動きが最近見られますが、横浜にまたユニークな公設民営の文化施設が誕生します。横浜市野毛山の「急な坂スタジオ」。大小6つのスタジオを整備し最長2か月までの長期利用を可能にして利用者側の要望に応えます。

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ゴキブリコンビナート「アンドロゲン・レインボー」

◎不条理を引き受け しぶとく生きる 崩壊寸前空間を最大限に生かす知恵
西村博子

ゴキブリコンビナートを私はゴキコンと呼んでいる。ゴキ根、の意である。
人間はゴキブリを見かけると立ちどころに叩き潰す。いたるところにゴキブリホイホイもしかけておく。だが、それはなぜ? ひとに聞いてみたらゴキブリはバイ菌を運ぶからだという。ほんとにそうなのだろうか? 人間がバイ菌を培養し、放置しておくから、その上を歩いたゴキブリの足についてることもある、というに過ぎないのでは? ゴキブリの立場に立てば尚さらのこと、なぜ抹殺されなければならないか全く理解できないにちがいない。

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新国立劇場『夢の痂』(作・井上ひさし、演出・栗山民也)

◎「述語」を「主語」に
後藤隆基

六月から七月にかけて新国立劇場小劇場[THE PIT]で上演された『夢の痂』(作・井上ひさし、演出・栗山民也)は、改めて云うまでもなく「東京裁判三部作」という連作劇の完結編である。『夢の裂け目』(二〇〇一)からはじまり、『夢の泪』(二〇〇三)と書きつがれた主題は、これまた断るまでもなく「東京裁判」である。第一作の『夢の裂け目』では、紙芝居を通して東京裁判のかくされた構造を明らかにした。つづく『夢の泪』は、A級戦犯・松岡洋右の弁護人を主人公にすえて裁判を〈内側〉から掘りおこす大胆な力業であった。そして、この第三部は――。

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エジンバラ演劇祭2006 - 2

◎ナンセンスなコントシーンで見せる「死」 Anthony Nielsonの「Realism」
中西理(演劇コラムニスト)

「Realism」の舞台から(筆者撮影)

国際フェスティバルのもうひとつの特徴は毎年、若手の劇作家に新作を委嘱し、ワールドプレミアで上演することだ。今年見たなかではスコットランドのPlaywrite(劇作家)・Directer(演出家)であるAnthony Nielson(アンソニー・ニルソン)の新作をNational Theatre of Scotland が上演した「Realism」(Royal Lycem Theatre)がそういう舞台であった。よく出来てはいるが保守的な舞台が目立つエジンバラ演劇祭の演目のなかでは、これは非常に斬新で面白かった。

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演劇集団円「ロンサム・ウェスト」(マーティン・マクドナー作、芦沢みどり訳)

◎「骨肉相食む魂の西部劇」をみて「場外劇場」の主役をさらう
佐々木眞

演劇集団円の「ロンサム・ウェスト」(マーティン・マクドナー作・芦沢みどり訳)を観て、いま帰ってきたところです。
マーティン・マクドナーは1970年生まれというから弱冠36歳の英国の劇作家。ロンドン在住だけど、祖父母や両親の故郷であるアイルランドのリーナン地方やアラン島を舞台にした作品を次々に発表しているらしい。おいらは2004年にこの人の「ビューティクィーン・オブ・リーナン」を観て、いたく感銘を受けちゃった。

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横浜でアート講座「梅若猶彦の世界」

横浜を拠点に活動しているBankARTスクールの2006年度10-11月期で、能楽師、梅若猶彦氏による講座「梅若猶彦の世界“古典の様式/アバンギャルド風ミックスジュース”」が開かれます。10月16日から毎週月曜日に計8回 … “横浜でアート講座「梅若猶彦の世界」” の続きを読む

横浜を拠点に活動しているBankARTスクールの2006年度10-11月期で、能楽師、梅若猶彦氏による講座「梅若猶彦の世界“古典の様式/アバンギャルド風ミックスジュース”」が開かれます。10月16日から毎週月曜日に計8回。講師の梅若氏は能楽師シテ方で、静岡文化芸術大学助教授、ロンドン大学の客員教授を務め、「能楽への招待」(岩波新書)の著者。今回はワークショップを中心に「芸術作品」がどのように作られるのかを考えるそうです。

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週刊マガジン・ワンダーランド第11号発行

週刊マガジン・ワンダーランド第11号が10月11日、発行されました。今週号も力作が並びます。『「骨肉相食む魂の西部劇」をみて「場外劇場」の主役をさらう』(佐々木眞)は芝居自体が劇中劇のように構成され、レビューのお上品な枠組みを食い破る破格の文章です。

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別役実作「壊れた風景」(組曲「二十世紀の孤独」第三楽章)

◎責任も無責任もありえないような状況がありうるということについて
竹内孝宏

戦後のリベラリズムを背景にした「無責任」の理論と表象―つまり丸山真男と植木等―を補完するかのように、この国のネオ・リベラリズムは、「自己責任」の言説を風俗的に定着させた。それは、勝ち組に対する負け組のルサンチマンに収斂することもあれば(イラク人質ジャーナリスト批判?)、逆に勝ち組の負け組に対する完膚なきまでのダメ押し(構造改革?)として顕在化することもある。

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エジンバラ演劇祭2006 - 1

◎リヨン・オペラ座のブレヒト=クルト・ヴァイル2本立てが白眉
中西理(演劇コラムニスト)

エジンバラの夜景(筆者撮影)

世界最大の演劇フェスティバル。そう称されるエジンバラ演劇祭だが、日本では意外とその実態は知られていないように思われる。毎年、夏休みをとってエジンバラ詣でを始めてから5年目になるのだが、今年も8月に約10日間同地に滞在、ダンス、演劇など40本の舞台を観劇してきた。それをこれから何度かにわたって、レポートしていくことにしたい。

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