神村恵カンパニー「どん底」

◎足の裏とリアリティの複数性
伊藤亜紗(ダンス批評)

「どん底」公演チラシ神村恵カンパニーの作品について何度か書く機会をいただいているが、今回の『どん底』については、神村自身の体について書きたいと思う。というのも、5人の女性ダンサーによって踊られた今回の作品は、並んだ時にひとり神村だけ頭一つ分背が高いという見た目の際だち以上に、カンパニーで活動を始めて以降の神村が、抑制してきた、ないし挿入的な役割しか与えてこなかった、地面を蹴るような激しい動きに、積極的な役割が与えられていたからである。つまり、神村の体がどうしようもなく抱え込んでいたある種の動きが、素直かつ忠実な仕方で解放されており、5人のダンサーが、それぞれの体なりの仕方で、その動きの論理を遂行しているように見えたからである。

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キラリ☆ふじみが提携劇団募集 拠点活動に支援

 意欲的な活動で知られる埼玉県富士見市の公共ホール「キラリ☆ふじみ」が、同ホールを拠点として活動する劇団やダンスカンパニーを募集しています。  募集要項によると、年1-3回キラリ☆ふじみと提携して公演する、市民との交流活 … “キラリ☆ふじみが提携劇団募集 拠点活動に支援” の続きを読む

 意欲的な活動で知られる埼玉県富士見市の公共ホール「キラリ☆ふじみ」が、同ホールを拠点として活動する劇団やダンスカンパニーを募集しています。
 募集要項によると、年1-3回キラリ☆ふじみと提携して公演する、市民との交流活動を進める-などが条件。公演会場、稽古場の提供のほか、制作支援金なども提供します。団体活動歴や主宰者の略歴、映像資料などを、2月29日(金)までキラリ☆ふじみに申し込む。書類選考(第1次審査)、面接(第2次審査)を経て3月下旬に3団体を選定。契約期間は原則として3年です。
 問い合わせは、富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(049-268-7788)まで。詳細は次のページをご覧ください。
http://www.city.fujimi.saitama.jp/culture/bosyu/bosyu.html

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ジェットラグプロデュース「投げられやす~い石」

◎お前の頭の中にある俺は、俺ではない 才能をめぐる残酷な物語
文月菖蒲(古書・骨董研究家)

「投げられやす~い石」公演チラシこれは「才能を傍でみているもの」の物語だ。
かつて天才ともてはやされ、美大生「山田」の憧れだった級友「佐藤」は失踪から2年、変わり果てた姿を見せる。「佐藤」の元カノで今は「山田」と結婚している「美紀」をまじえ、才能を失ったもの、才能が元からなかったもの、才能を愛したものという三様の人間を描き、岩井秀人(作・演出・主演/ハイバイ)は残酷な物語を作り上げた。

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地点「話セバ解カル」

◎痛ましい精神風景としての身体 過剰さを自覚的に受け続ける  藤原央登(『現在形の批評』主宰)  「話セバ解カル」の惹句は、5.15事件で海軍将校に暗殺された宰相・犬養毅最後の言葉であったことは広く知られている。夢想する … “地点「話セバ解カル」” の続きを読む

◎痛ましい精神風景としての身体 過剰さを自覚的に受け続ける
 藤原央登(『現在形の批評』主宰)

 「話セバ解カル」の惹句は、5.15事件で海軍将校に暗殺された宰相・犬養毅最後の言葉であったことは広く知られている。夢想するイデオロギーを胸に秘め盲目的に駆られた者にとっては、対話による第三の道を導き出そうとする知的営為など存在しない。我が命を救うことが大命題だったはずだが、犬養はこの一瞬間後に射殺さるやもしれぬ状況においても泰然たる構えで、言論による真正面からの説得を試みようと懐柔策に打って出たという。この時の逼迫した緊張状態とは、離反する互いの思惑が支えとなったまさに命を賭した対立のドラマである。だが結局、何を「話シテモ解カラナイ」結果を生み出した。とりわけ今の時代に演劇を志向しようとすれば、この困難な認識からしか何も生まれなく、また始められないのではないかと思わされる点でこの題目はとりわけ重要な意味を持っていると私は思う。

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ギンギラ太陽’s 「翼をくださいっ!さらばYS-11」

◎3つの仕掛けは東京地方公演を福岡にいる気分にさせてくれた
大和田龍夫(大学講師)

「翼をくださいっ!さらばYS-11」公演2005年の再演となったこの芝居には、普通の芝居に慣れた者には意表をつく3つの仕掛けが待ち受けていたのである。

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仏団観音びらき「蓮池極楽ランド」

◎テーマパークの実態を仏団色で描き出す
葛西李奈(フリーライター)

「蓮池極楽ランド」公演チラシなんまいだ~♪なんまいだ~♪両手を合わせ、天高く突き上げるキャスト総勢に胸打たれた。くり返し祈りをささげる彼らの表情に、希望の色は見えない。すべてを投げ捨て、懸命に許しを乞うている感じもしない。あきらめの極地にたどり着き、開き直ってしまった様子なのだ。夢を与えるテーマパークの裏側で、現実を受け止められず歪んでしまった彼ら。生きていることのどうしようもなさが伝わってきて、心身ともに力を吸い取られた。

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劇団フライングステージ「Tea for two~二人でお茶を」

◎みる人の心を和らげ、温かく包む優しさ
因幡屋きよ子(因幡屋通信発行人)

「Tea for two~二人でお茶を」公演チラシ劇団フライングステージの舞台を初めてみたのは、2005年夏の『Four seasons~四季~』であった。大家はじめゲイばかりが暮らすアパートの住人たちの悲喜こもごもを描いたもので、温かさと安定感のある楽しい舞台だった。以来ほぼ毎回足を運んでいるが、では自分はこのカンパニーのファン、あるいは支援者になったのかというと、実はそこまできっぱり言い切れない。

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劇団鹿殺し「2008改訂版・百千万」

◎新鮮な風は勢いがあって冷たい 破壊力抜群の再演舞台
小畑明日香

「2008改訂版・百千万」公演チラシ西日本福井県の、原発事故を一応下敷きにしている。一応、だ。だって鹿殺しだから。
前回見た『SALOMEEEEEEE!!!』でも強く感じたことだが鹿殺しの話は神話っぽい。
日本の戦後とギリシャ悲劇がちゃんぽんになった世界観で、登場人物の名前も手伝ってどことなく寓話っぽい。

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MU「愛の続き/その他短編」

◎気になるセリフが突き刺さる 信じている言葉本来の魔法
木俣冬(文筆自由労働者)

「愛の続き/その他短編」公演チラシ他者と話している時、なにげない瞬間にふと漏らした一言こそが大事だったりする。ハセガワアユム氏が意識的なのかたまたまなのかはわからないが、2本の短編で、気になるセリフが一言ずつあった。
「苦ぇ…」と「喪服みたいですね」。
その瞬間、物語ははじまった。(あくまで私の中でだけど。)

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ニブロール「ロミオ OR ジュリエット」(クロスレビュー)

<クロスレビュー 第3回> ニブロール(nibroll)「ロミオ OR ジュリエット」

「ロミオORジュリエット」公演チラシニブロールはダンスを中心に映像、音楽、照明、衣装、美術など各分野で活躍する人たちが集まったカンパニーです。今回は10周年とあって久しぶりの新作公演となりました。
主宰の矢内原美邦さんは高校からダンスを始め、全国高校ダンスコンクールでNHK賞、特別賞などを受賞。1997年にニブロールを設立。ニューヨークやパリ、アムステルダムなどのほか、ニューデリーやバンコク、台湾などアジア地域で開かれるフェスティバルに招聘され、2004年には「the Kitchen」(N.Y)単独公演も。日常の身ぶりをベースにした動きによって時代の空気感を提示する独自の振付で高い評価を得ています。
Off Nibroll名義で、映像作家・高橋啓祐さんとインスタレーションを中心とした作品を発表したり、MIKUNI YANAIHARA PROJECTで演劇分野に踏み込んだりしてきた矢内原さんの新しい舞台に注目しました。(掲載は到着順)

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