ワンツーワークス「ジレンマジレンマ」

◎3.11後の「正義」
 宮武葉子

「ジレンマジレンマ」公演チラシ
「ジレンマジレンマ」公演チラシ

 状況の説明なしに、三つの取り調べを同時進行で見せられる。時間の経過とともに、この三件がいずれも3.11に関わるものであるということが分かってくる。ワンツーワークス「ジレンマジレンマ」は、「正義」とは何かを問いかける意欲作である。タイトルはゲーム理論「囚人のジレンマ」に由来する。ただし、劇中で囚人のジレンマが直接描かれるわけではなく、わずかに第三の取り調べにその痕跡を残す程度である。
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維新派「風景画-東京・池袋」

◎劇評を書くセミナーF/T編 第3回 課題劇評

「風景画-東京・池袋」公演チラシ
「風景画-東京・池袋」公演チラシ

 ワンダーランドの「劇評を書くセミナーF/T編」第3回は10月22日(土)、にしすがも創造舎で開かれました。取り上げた公演は、維新派「風景画-東京・池袋」(2011年10月7日-16日)です。9月末の瀬戸内・犬島公演をへて、東京のデパート屋上(西武百貨店池袋本店4階まつりの広場)に登場したパフォーマンスはどのように変貌し、都会のど真ん中にどのように出現したのか-。提出された課題作を基に、講師の岡野宏文さん(元「新劇」編集長)のコメントを挟みながら、駅に隣接したデパート屋上という立地の特質、維新派の活動形態や俳優の特徴など活発な話し合いが続きました。
 以下の8本の劇評は、セミナーでの話し合いを基に加筆、修正されました。掲載は到着順です。
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劇団☆新感線「港町純情オセロ」

◎古典を「わかりやすく」改編するということ。
 宮武葉子

「港町純情オセロ」 公演チラシ チラシに「今どきのシェイクスピアは、ようわかりまへんとお嘆きの貴兄に」とある。劇団☆新感線プロデュース『港町純情オセロ』は、タイトル通り、シェイクスピア四大悲劇の一つ『オセロ』の翻案劇である。物語はほとんど原作のまま、設定は大幅に置き換えて、戦前の関西を舞台としたヤクザ物の芝居にしている。
 舞台は1930年代、神戸によく似た「かんべ」と呼ばれる港町。ムーア人の将軍オセロは、日本人とブラジル人のハーフの藺牟田(いむた)組組長・藺牟田オセロになっている。彼の愛妻デズデモーナは倉方医師の一人娘モナに、オセロを裏切る旗手イアーゴーは組長の右腕・伊東に、デズデモーナの浮気相手に仕立て上げられる副官キャシオーは帝大出のインテリヤクザ・汐見に、イアーゴーに金をむしり取られるロダリーゴは藺牟田組にみかじめ料を納めているクラブのオーナー・三ノ宮に、オセロの前任者モンターノは足を洗ったヤクザの紋太に、それぞれ置き換えられる。イアーゴーの妻エミリアは、伊東の妻絵美とその弟で同性愛者の准の二人に分けられているが、大きな変更点はそのぐらいで、主要登場人物はシェイクスピアの戯曲とほぼ同じである。
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岡安伸二ユニット「2008年版『BANRYU』蟠龍-いまだ天に昇らざる龍」

◎見事な技を見た、しかし。
宮武葉子

「BANRYU 蟠龍」公演チラシ日本劇作家協会プログラム岡安伸治ユニット公演 2008年版「BANRYU 蟠龍―いまだ天に昇らざる龍―」を観た。93年に劇団世仁下乃一座で初演され、以降、形を変えながら数多く上演されてきた作品ということだが、評者はこれが初見である。

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