◎福岡と北九州の演劇・ダンススポットを訪ねて
大泉尚子
6月末に、九州にある公共ホールで働いていらした栗原弓枝さんのご案内により、福岡と北九州で演劇やダンスにかかわっておられる方々を訪ねた。お会いしたのは、NPO法人「FPAP(エフパップ)」の高崎大志さん、「枝光本町商店街アイアンシアター」の市原幹也さん、「劇団こふく劇場」の永山智行さん、「北九州芸術劇場」の泊篤志さん、NPO法人「Co.D.Ex(コデックス)」のスウェイン佳子さんなど。2日間という短い日数ではあったが、地域の舞台創造を支える活動の一端にふれることができた。
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客入れの音楽はフォークソング。「あれっ、これってPPMの『花はどこへ行った』かな?」なんて思いながら、60-70 年代の回顧ものかと想像を巡らす。
JR埼京線・板橋の駅を降り、歩くこと10分。まさかここじゃあないよなあ…というくらいの細っこい路地を折れた、行き止まりのどん詰まり。東武東上線の線路の柵が立ち塞がり、目の前を轟音を立てて電車が走り過ぎていく、その脇。劇場というよりは、駆け落ち(って死語かもしれないけれど…)した二人がひっそりと隠れ棲むのにふさわしいような、そんな場所にこのatelier SENTIOはある。どうか見つけないでくださいと言わんばかりに。そこで行われているSENTIBAL!2009の参加作品として、shelfの「Little Eyolf―ちいさなエイヨルフ―」(イプセン作、矢野靖人演出)が上演されていたのだった。
前衛=アバンギャルドという言葉をとんと聞かなくなって久しい。こないだ若い人に暗黒舞踏の説明をしようとして、「前衛的な踊り…」と言いかけて思わず赤面してしまい、あわてて「当時は前衛的と言われた踊り…」と言い直した。何か、口にするだけでもちょっと気恥ずかしい感じがするんだけど、それって私だけでしょうか?
座・高円寺の入口あたりから会場内にかけて、警官の扮装をした男女が10人以上。彼らは、客入れや会場案内をやっている。手には警棒、全身黒ずくめ。女は、ショートパンツ・網タイツにピンヒール、ジャケットの胸元のボタンを最大限にあけて、豊かな谷間を強調しつつ。これはきっと、異色のブロードウェイミュージカル「ユーリンタウン」の世界へのエロこわい誘導なのね、と思う。
「瀕死の王」は、文字通り死を眼の前にした王ベランジェ一世が、生に強く執着をもちながら、ついには死を受け入れるというお話。あくまでも威厳をもって王らしく死ぬことを突き付ける、第一王妃マルグリットと医者。より多く寵愛を受けているせいか、嘆くばかりの第二王妃マリー。それに、お世話係の侍従にして看護婦のジュリエットと衛兵。この6人が登場人物となる。
舞台は、南国リゾート地のホテルのロビーのようなしつらえである。バックには椰子系の観葉植物が置かれ、ソファと椅子に男と女がひとりずつ座っている。一人の女が現れて、何気なく言葉をかけ合い、暗転もないまま芝居は始まるともなく始まっている。