鹿目由紀「不惑と窓枠の行方」

◎女性の心理を重層的にあぶり出す 「不惑」と「窓枠」を使って
鳩羽風子(新聞記者、演劇評論)

「劇王」チラシ1、上演時間20分の制約の下で

劇作家に与えられた上演時間はたったの20分。その制約の下で一体、どこまで表現できるのか? そんな興味を持って足を運んだのが、愛知県の長久手町文化の家で開かれた「劇王Ⅴ」というイベント。日本劇作家協会東海支部が毎年、プロデュースしており、今回で5回目を数える。

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ポツドール「顔よ」(クロスレビュー)

「顔よ」公演チラシポツドールの新作「顔よ」が下北沢・本多劇場で開かれました(4月4日-13日)。テーマはずばり「顔の美醜」。「逃れられない人間の最大の業である顔の美醜は、(主宰の)三浦が5年間あたため続けたテーマであり、執拗なまでにリアルにこだわった演出はそのままに、人間関係においての究極のテーマを生々しく、ありのままに描出する」と劇団リリースにありました。 そこで4月のワンダーランド・クロスレビュー(第5回)はこの「顔よ」公演を取り上げました。いつものように5段階の評価と400字コメント(ミニレビュー)です。
4月16日発行の週刊マガジン・ワンダーランド クロスレビュー特集(ポツドール)号に、その後寄せられたレビューを追加しました。(掲載は到着順)

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悪い芝居「なんじ」

◎相互理解への疑義と不信 観客の挑発から次なるステージを
藤原央登(「 現在形の批評 」主宰)

「なんじ」公演チラシ開演前の劇場で流れていた尾崎紀世彦の『また会う日まで』。客入れ音楽のみならず、随所に挿入歌として使用される歌謡曲が未経験のノスタルジーを喚起し、それと共に原色鮮やかな照明と有り余る身体の力をバカバカしい笑いとギャグへ接続して駆け抜けてゆく悪い芝居の劇世界は、そのセンスの良さに反し、演劇を志向する自己と刹那の享楽を求めて観客席に座る我々への冷めた視線によって早くも一つの文体を獲得している。この根底に流れる基本テーゼこそ、この集団が他の若い集団と峻別した意識の高さの発露となっているのだが、舞台を観ながらではなぜ彼らは演劇というジャンルで表現活動をしているのか、なぜ演劇でなければならなかったのかということを考えさせられた。

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青年団リンク青☆組「うちのだりあの咲いた日に」

◎揺るがないリアリティ ぎっしり詰まった伏線が見事
小畑明日香(慶大生)

「うちのだりあの咲いた日に」公演チラシ処女作の五年ぶりの再演、であり、執筆当時の自分の意向をも演出家の立場からよく汲み取っていたと思う。
脚本家コンクール入賞作家の、演出家としての力量も充分に感じさせてくれた。あ、若手演出家コンクールで賞とっている人でした。失礼しました。

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MONO「なるべく派手な服を着る」

◎「おひ!」
武田浩介(演芸作家・ライター)

「なるべく派手な服を着る」公演チラシ劇団MONOの第35回公演は、『なるべく派手な服を着る』。
まずは、このタイトル。特に難しい単語も使っていないし、非日常的な動作の描写でもない。「なるべく派手な服を着る」。うん。服を着る。派手なね。派手なのを着るわけね。分からないことは、一つもない。

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「ヤン・リーピンのシャングリラ」

◎滅びゆくものは美しく、喪われたものだから懐かしい
文月菖蒲(古書・骨董研究家)

「ヤン・リーピンのシャングリラ」公演チラシ東京渋谷のBunkamuraで『ヤン・リーピンのシャングリラ』は喝采をもって迎えられた。同時期、チベットでは2008年3月10日から始まったデブン寺の僧によるデモを発端として大規模な暴動が発生し、中国政府への抗議活動と中国政府による鎮圧行動が続いている。華やかな祭典、北京オリンピックを目前に控え、中国における少数民族のあり方が改めて注目されている。それは中国が大国だからこそ人道的であるべきだという理論よりも、アメリカを中心とした近代感覚が無意識に抱いている、文化・歴史への強い憧憬に近い。

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五反田団「偉大なる生活の冒険」

◎「内部」に閉じる世界を躊躇なく肯定する 前田ワールドの特徴と凄さ
中西理(演劇・舞踊批評)

「偉大なる生活の冒険」公演チラシ岸田国士戯曲賞を受賞したばかりの前田司郎(五反田団)の新作である。受賞後第1作となるが、相変わらず「ダメ男」を描かせたら日本一という前田らしさを存分に発揮した舞台に仕上がっていて、思わずニヤリとさせられる。
芥川賞候補となった自作の小説「グレート生活アドベンチャー」の舞台版なのだが、小説と舞台を比較すると主人公の男(前田司郎)の「ダメ」ぶりは一層グレードアップした感がある。

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4月のクロスレビューはポツドール「顔よ」

 ポツドールの新作「顔よ」が4月4日から下北沢・本多劇場で開かれています(13日まで)。 最新作のテーマはずばり「顔の美醜」。「逃れられない人間の最大の業である顔の美醜は、(主宰の)三浦が5年間あたため続けたテーマであり … “4月のクロスレビューはポツドール「顔よ」” の続きを読む

 ポツドールの新作「顔よ」が4月4日から下北沢・本多劇場で開かれています(13日まで)。 最新作のテーマはずばり「顔の美醜」。「逃れられない人間の最大の業である顔の美醜は、(主宰の)三浦が5年間あたため続けたテーマであり、執拗なまでにリアルにこだわった演出はそのままに、人間関係においての究極のテーマを生々しく、ありのままに描出する」(劇団リリース)そうです。
 そこで4月のワンダーランド・クロスレビューはこの「顔よ」公演を取り上げます。ご覧になった方々のミニレビューを広く募集します。

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タレイアスカンパニー「レッドくんのもくようび」

◎何もないところから生まれるカラフルな世界
野宮安寿(劇作家)

「レッドくんのもくようび」公演から。提供=横浜こどものひろばジャンルとしては子ども向け芝居なんだろう。子ども券があるし。 でも小さな頃から「ポンキッキをつくる人になりたい」と思い続け、しかし「テレビ局は体力勝負」という現実の声に負けてフジテレビを受けず、そのくせ30を過ぎた今も子ども本を読みまくり、最近は翻訳が待ちきれず洋児童書までがつがつ読んでいる私にとって子ども向けだろうが老人向けだろうが関係ない。カナメは面白いか、どうかなのだ。

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劇団掘出者「チカクニイテトオク」

◎心の奥底から掘り出される言葉 劇作家の思いを越えて
因幡屋きよ子(因幡屋通信発行人)

「チカクニイテトオク」公演チラシ開幕前、舞台は白い布で覆われている。女性とスーツを着た男性がいて、どちらも客席案内のスタッフだと思っていたら、男性の様子が少し変である。不自然にからだを傾け、ゆらゆらと動く。これは登場人物の一人で、既にお芝居が始まっているらしい。

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