d.v.d + nhhmbase

◎応用可能なフォーマットとしてのゲーム
伊藤亜紗(ダンス批評)

ふだんダンスばかり見ているせいか、たまに音楽のライブにいくと楽器が武器(ウェポン)にみえる。なにしろステージ上の人間が体に尖ったものをくくりつけていたり、バリケードみたいにドラム缶状の物体に囲まれているのが新鮮だ。しかも、それらの物体は発砲する。弾丸ではないから安全なのではあるが、あちこちで人が人に向かって対人シューティングしてる。「音」という玉を、どんなリズムで、どんなタイミングで、どんな強さで、発砲するか。最適な解は刻一刻と変化し、すべては相手の出方次第だ。もちろん隙をついて攻撃もしかける。楽器という武器をかまえた演奏者が、「音楽」というシューティング・ゲームのプレイヤーにみえてくるのだ。

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スロウライダー「Adam:ski」

◎「気配」をホラーに変える演劇 観客も不安や怯えとシンクロ
木俣冬(フリーライター)

「Adam:ski」公演チラシ気配の演劇だなと思った。
Jホラーというジャンルがブームになって久しいが、その代表格の『女優霊』を“気配の恐怖”だと中田秀夫監督は当時解説していたと記憶する。そもそも、日本人は日本家屋の突き当たりの薄暗い納戸や階段の上など、そこに何かが潜んでいるようなコワサ、どこかからのぞかれているかもしれないコワサに敏感だ。日本人特有の民俗感をくすぐることでJホラーは巨大なムーブメントとなった。

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Shizuoka春の芸術祭2007が5月3日から開幕

宮城聡・新芸術総監督
宮城聡・新芸術総監督

「Shizuoka春の芸術祭2007」が5月3日から6月30日まで静岡芸術劇場や舞台芸術公園で開かれます。今年度は、フランス、イタリア、リトアニア、ロシア、中国、インドなどから10演目、国内からは金森穣が率いるダンスカンパニーNoism07の最新作「Play2Play-干渉する次元」などのほか、鈴木忠志・前芸術総監督が「別冊 別役実『AとBと一人の女』より」(5月3日、5日)などの2作が特別上演されます。

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「セロ弾きのゴーシュ」(宮沢賢治作、大岡淳演出)

◎表現形式の実験+面白い発見のある楽しめる作品に

横浜リーディングコレクション#2チラシ宮沢賢治の作品を3つの団体がそれぞれの演出でリーディングするこの企画、その中で大岡淳演出による『セロ弾きのゴーシュ』を観た。リーディング公演。しかも超メジャーな作家の作品ということもあって、あまり楽しい公演ではないだろうと思っていたのだが(失礼)、観てみると予想に反し、面白い発見のある舞台だった。

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早稲田と立教でシェークスピア公開講座

 早稲田大学と立教大学で、シェークスピアに関する公開講座が相次いで開かれます。  まず早稲田では4月21日(土)、『タイタス・アンドロニカス』(蜷川幸雄演出)に出演の俳優吉田鋼太郎さんが「シェイクスピアへの実践的アプロー … “早稲田と立教でシェークスピア公開講座” の続きを読む

 早稲田大学と立教大学で、シェークスピアに関する公開講座が相次いで開かれます。
 まず早稲田では4月21日(土)、『タイタス・アンドロニカス』(蜷川幸雄演出)に出演の俳優吉田鋼太郎さんが「シェイクスピアへの実践的アプローチ 読むのとやるのとは大違い~ミニワークショップを通じて~」のタイトルで講演。『ベニスの商人』『コリオレイナス』『十二夜』『マクベス』などの一部を実際に演じながらシェイクスピアの万華鏡的な面白さに迫るそうです。午後1時から文学部キャンパス36号館382教室で。

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戯曲のポテンシャルを多層的に抽出 退任飾る「近代演劇」の傑作

◎SPAC「別冊 別役実 -『AとBと一人の女』より」
大岡淳(演出家・演劇批評家)

「鈴木忠志の軌跡」公演チラシこの3月31日をもって、演出家・鈴木忠志が(財)静岡県舞台芸術センター(SPAC)芸術総監督を退任した。彼の監督時代の最後の演出作品となったのが、この『別冊 別役実 ―「AとBと一人の女」より』である。若干のテキレジと、演出上の工夫が施されているとはいえ、基本的には、戯曲『AとBと一人の女』をストレートに演出した作品である。

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ドルイド・シアター・カンパニー「西の国のプレイボーイ」(J.M.シング作)

◎分厚い下塗りの上に描かれる牧歌的笑劇
片山幹生(早稲田大学非常勤講師)

「西の国のプレイボーイ」公演チラシアイルランドの西北部の寂れた漁村を舞台とする牧歌的笑劇。『西の国のプレイボーイ』を見た印象を一言で表現すればこうなる。ダブリンでの初演時(1907年)にそのスキャンダラスな内容ゆえに暴動騒ぎになったことが不思議に思えるほど他愛ない話なのだ。観客の視覚に強く訴えるような斬新なスペクタクルもあるわけでもないし、意外性のある仕掛けが演出で用意されているわけでもない。しかしその古典的様相の穏やかさにも関わらず、この作品は私を大きな演劇的感興で満たすものだった。この芝居に私が感じた面白さと充実感は何に由来するのだろうか? 上演を企画した東京国際芸術祭(TIF)のウェブページ上の資料、芸術祭事務局から提供していただいた字幕原稿、および戯曲の原作および翻訳などを読んで上演舞台をじっくり反芻し、その魅力の源泉について考察してみたい。

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仏団観音びらき「宗教演劇」

ご無沙汰しております。 かなり久しぶりの登場です。 公演から半年も経過していて恐縮ですが ずっと心に残っていた仏団観音びらきの 第6回公演「宗教演劇」の劇評を執筆しました。 初めて仏団を観たときの エピソードも含めて書き … “仏団観音びらき「宗教演劇」” の続きを読む

ご無沙汰しております。
かなり久しぶりの登場です。
公演から半年も経過していて恐縮ですが
ずっと心に残っていた仏団観音びらきの
第6回公演「宗教演劇」の劇評を執筆しました。

初めて仏団を観たときの
エピソードも含めて書き出してみました。
読んでいただけたら嬉しいです。

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最後まで隙のない映画とエンゲキの演劇

◎KUDAN Project 「美藝公」  鈴木麻那美 脚本・演出:天野天街の二人芝居。 「くだんの件」「真夜中の弥次さん喜多さん」に続き、三作目にして最終章とのこと。 原作は筒井康隆。 舞台は映画産業中心の社会。スーパ … “最後まで隙のない映画とエンゲキの演劇” の続きを読む

◎KUDAN Project 「美藝公」
 鈴木麻那美

脚本・演出:天野天街の二人芝居。
「くだんの件」「真夜中の弥次さん喜多さん」に続き、三作目にして最終章とのこと。

原作は筒井康隆。
舞台は映画産業中心の社会。スーパースターの美藝公。
…という設定を原作から拝借した、あくまで天野ワールドな舞台。

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生田萬キラリ☆ふじみ芸術監督インタビュー

「インタビューランド」コーナーに久しぶりに新しい演劇人が登場しました。この4月から富士見市民文化会館キラリ☆ふじみの芸術監督に就任した生田萬さんです。
生田萬さんは「ブリキの自発団」という風変わりな名前の劇団を率いて1980-90年代の小劇場シーンで活躍しました。アメリカのSF作家フィリップ・K・ディックの影響を受けた作品を次々に発表し、「過去はいつも新しく、未来は不思議に懐かしい」というフレーズは鮮烈な印象を残しています。最近は劇団活動を休止していたはずなのに、どんなきっかけで芸術監督に転身したのか、なぜ地域の公共ホールを拠点にするのかなど、現代演劇に対する希望と構想を率直に語ってもらいました。>>