MODE「変身」(カフカ原作)

◎多層的深みを孕むふり幅
高橋宏幸(近畿大学国際人文科学研究所研究員)

「変身」公演チラシ作品がそれのみによって完結されないこととして、たとえばプロセスの重視は、美術ならばプロセスアートやコンセプチュアルアートの一端を占める作品などで知られている。その方法を演劇にあてはめるならば、たとえばリーディングやワーク・イン・プログレスなどを経て、それが公演されるまでの軌跡を公開した作品を指すことになるのだろうか。

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ファミリア・プロダクション「囚われの身体たち」

◎囚われぬ身体の美しさ
今井克佳(東洋学園大学准教授)

「囚われの身体たち」公演チラシ2007年3月、チュニジアのファミリア・プロダクションが、「東京国際芸術祭」に再登場した。演出家ファーデル・ジャイビと、脚本家で女優のジャリラ・バッカールを核とする、この演劇集団は、メンバーを固定した劇団ではないようだが、前回、2005年に「ジュヌン-狂気」で公演したときと同じ出演者を今回も認めることができた。

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手塚夏子・振付「関わりを解剖する二つの作品」

◎立体的な広がりの到達点と更なる可能性
柳沢望

「関わりを解剖する二つの作品」公演チラシ3月末、『関わりを解剖する二つの作品』と題して、手塚夏子の振付作品が2本上演された。手塚夏子は近年『私的解剖実験』と題したシリーズによってダンスの方法論を模索する試みを続けてきたが、今回の二作品では、今まで探求されてきた方法論が組み合わされ、立体的な広がりを見せ始め、手塚の方法論のひとつの到達点を示すと共に、更なる可能性を予感させるものになった。

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ヤン・ロワース&ニードカンパニー「イザベラの部屋」

◎音楽とダンスと演劇と美術の融合による記憶のコラージュ
芦沢みどり(戯曲翻訳者)

「イザベラの部屋」公演チラシこの2月に彩の国さいたま芸術劇場でヤン・ファーブルの「わたしは血」を観た。その2カ月足らず後、同じベルギー人という以外何の予備知識もなしに、同じ劇場でヤン・ロワースの「イザベラの部屋」を観た。当然ながら舞台から受けた印象と感動の強度はそれぞれ違うが、どちらもダンス、音楽、演劇、美術が融合した作品だった。

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Al-Kassab and his group Mustaheel-Alice「Dream in Baghdad」

◎劇場の天井が消滅するとき
詩森ろば(「風琴工房」主宰)

「Dream in Baghdad」公演チラシムスタヒールアリスの「バグダットの夢」という作品を見た。ムスタヒールアリスはイラクのカンパニー。不安定で、成田に着くまではほんとうに来ることができるかどうかもあやぶまれた状況下から、日本が初演という作品を携えてやってきた。それは、雨が降ると水に浸されてしまう古い家に耐え忍びながら住む家族の話であった。不幸な状況は人間関係の不全と不安を呼び、苛立ちや悲しみが降り止まぬ雨に浸されていく。そこに狂ったひとりの若者がやってきてすべてを破壊してしまう。跡に残ったのは夥しい死と亡骸。暖かな屋根の下に住みたいというささやかな希望さえも終える。

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青年団「別れの唄」(日仏合同公演)

◎揺らぐ「主体性」を取り込み楽しむ 演技の「質」を高めた舞台
松井周(青年団、「サンプル」主宰)

青年団「別れの唄」(日仏合同公演)チラシ平田オリザの作品をフランス人のロアン・グットマンが演出した『別れの唄』を観て、「現代口語演劇」について考えてみたいと思った。

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青年団「別れの唄」(日仏合同公演)

◎異文化摩擦の齟齬をコミカルに、そしてリアルに
片山幹生(早稲田大学非常勤講師)

青年団「別れの唄」(日仏合同公演)チラシ平田オリザの新作だが、フランスの地方都市にある国立演劇センターから委嘱された作品であり、当初からフランスの劇場、フランス人観客のために構想された作品であることは強調しておく意味はあるだろう。言語芸術である演劇ジャンルにおいて、使用言語の異なる国・地域の人間に新作を委嘱することはかなり異例であるように思われるからだ。今回の委嘱は、平田の劇作家としての資質が言語を超えた普遍的なものであることをフランスの演劇人が認めたことを示している。

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青年団「別れの唄」(日仏合同公演)

◎東京で見る月も、パリで見る月も
  中村隆一郎(「演劇時評」サイト主宰)

青年団「別れの唄」(日仏合同公演)チラシ平田オリザがティヨンヴィル・ロレーヌ国立演劇センターの依頼で、フランス国内における公演を前提に書いた。旅回りはすでに始まっているが、途中東京で五日間だけ上演されたもの、このあとパリなどでの公演が待っている。演出のロラン・グッドマンはこの劇場センターの芸術監督のような立場にあるようで、平田とは青年団の「国際交流プロジェクト」で何度も共同作業の実績がある。

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キラリ☆ふじみが演出家コンペ

埼玉県の富士見市民文化会館キラリ☆ふじみが、自主制作する芝居の演出家と出演者を公募しています。若手演出家に機会を提供する「キラリ☆ふじみで創る芝居」は今年、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」を取り上げ、3人の演出家により幕ごとに異なる演出で上演。その中から1人の演出家を選出し、来年度に作家阿部和重さんの芥川賞受賞作「グランド・フィナーレ」の演出を依頼することになりました。この4月から平田オリザさんのあとを継いだ生田萬芸術監督の新しいプロジェクトで、夏には10人前後の出演者をオーディションで選び、来年2月に「ロミオとジュリエット」を上演する予定です。
演出家コンペの公募締め切りは5月1日。来週に迫っています。詳細は、キラリ☆ふじみのwebサイトをご覧ください。
プロジェクトの狙いなどは、生田萬さんのインタビュー(「インタビューランド#7」)に掲載されています。

平田オリザ・インタビュー

 国際交流基金のwebサイト「日本の舞台芸術」のアーチストインタビュー・ページに、青年団の平田オリザさんが登場しています。ページの掲載が3月23日なので、紹介が1カ月遅れになってしまいました。平田さんは「現代口語演劇」を … “平田オリザ・インタビュー” の続きを読む

 国際交流基金のwebサイト「日本の舞台芸術」のアーチストインタビュー・ページに、青年団の平田オリザさんが登場しています。ページの掲載が3月23日なので、紹介が1カ月遅れになってしまいました。平田さんは「現代口語演劇」を唱えて現代演劇の新しい理論化作業の先頭を切り、劇作家、演出家、民間小劇場の経営者、公立ホールの芸術監督、大学の教授など多面的に活躍しています。また韓国、中国、フランスとの共同制作などにも積極的に取り組んでいるのはみなさんご存じの通りです。聞き手は、演劇評論家の扇田昭彦さん。「現代口語演劇」のポイント解説のほか、日仏合同公演「別れの唄」が成立する経過や、来年以降に予定される新作品の話など、盛りだくさんの内容になっています。
現代演劇界のニューオピニオンリーダー平田オリザに聞く(聞き手:扇田昭彦)