◎小劇場ファンのための親子演劇ガイド
片山幹生
1.発端
2005年12月に演劇集団円のこどもステージ『おばけリンゴ』を、両国のシアターχで娘と一緒に見たときのことはいまだはっきりと覚えている。舞台上で生成するあらゆる出来事に目を輝かせて見入り、いちいち律儀に反応を示す子供の様子をそばで眺めるのは、芝居そのもの以上に私の気分を高揚させる体験だった。娘が5歳になるころから12歳になった現在まで、平均すると大体、一年に10回ぐらいは子供と芝居を見に行っている。子供と一緒に見る演劇は、私の観劇生活のなかでも重要なものになっている。
子ども劇場などの観劇団体に関わっている方などには、子供向けの演劇作品に長年にわたり数多く接し、私などよりはるかにその世界に精通している方が多いはずだ。この記事は東京に住む一小劇場ファンの観点からの私的で主観的な子供向け演劇の世界の紹介にすぎないことを最初にお断りしておく。
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