第七劇場「雨月物語」

◎「野良仕事」で得た越境の可能性
 カトリヒデトシ

第七劇場「雨月物語」公演チラシ 第七劇場は野良仕事をしてる。と言ってみよう。

 このところBeSeTo+やポスト・トークなどで「現在、演劇には三つの系がある」と、私は話している。「を」と「で」と「な」と名付け、分類している。まず、テキスト「を」やる人たちを「を」派と呼ぶ。完成したテキストを元に上演をしていくもので、ほぼ戯曲=作家中心主義といえる。次に、テキスト「で」やる人たちを「で」派と。古典などの既成戯曲を元に作品づくりをしていくもので、ほぼ演出中心主義といえる。最後の「な」はちょっと苦しいが、テキストは「ない」か、あっても作品の要素のひとつにしかすぎず、作品の中心にこないものを「な」派と考えている。身体表現を重視したり、物語性の「ない」テキストを使ったりするものをここに分類している。これらは固定したものではなく一つのカンパニーや作家でも、時に系をかえたり、横断したりもする。チェルフィッチュだから「な」とか、単純には言えない。

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劇団青年座〈マキノノゾミ三部作〉(「フユヒコ」「赤シャツ」「MOTHER」)

◎連続上演企画にかける劇団の気概と思い入れ
  後藤隆基

青年座〈マキノノゾミ三部作〉公演チラシある演劇人の名前がアチラコチラで目につく年がある。その意味で2008年は、じつにマキノノゾミの一年だった、といっても過言ではないだろう。

年の瀬の常と顧みれば、まず4月に沢田研二の音楽劇シリーズ「ぼんち」(わかぎゑふ作)を演出。8月にはM.O.P.に新作「阿片と拳銃」を書き下ろし、同時に劇団を2011年をもって解散する〈ファイナル・カウントダウン〉を発表した。が、当の本人たちはいたって力の抜けた気構えぬ発言を各誌に寄せており、この劇団をよくあらわしているようにみえた。

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3人で語る「2010年9月はコレがお薦め!」

鳥公園「乳水」公演チラシ

★カトリヒデトシさんのお薦め・KUNIO 07「文化祭」(こまばアゴラ劇場9月3日‐6日)
・ゲキバカ「ワイルドターキー」(東京芸術劇場9月23日‐26日)
トリプル3演劇ワリカンネットワーク 南河内万歳一座「あらし」(すばるホール9月25日・26日)
★鈴木励滋さんのお薦め
劇団山の手事情社「オイディプス王」「タイタス・アンドロニカス」(アサヒ・アートスクエア9月2日‐12日)
・「ZOKKYののぞき部屋演劇祭2010」(王子小劇場・裏9月10日‐20日)
鳥公園「乳水」(日暮里d‐倉庫9月23日‐26日)
★徳永京子さんのお薦め
・さいたまゴールドシアター「聖地」(彩の国さいたま芸術劇場9月14日‐26日)
ナイロン100℃ Side Session「亀の気配」(サンモールスタジオ9月15日-20日)
・M&Oplays+PPPPプロデュース「」(本多劇場9月16日-26日、シアター・ドラマシティ9月29日)

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劇団唐ゼミ☆「蛇姫様-わが心の奈蛇」

◎劇の厳密なる作動(後編)  清末浩平 5-散文性の優位  山口猛は『同時代人としての唐十郎』(三一書房、1980年)の中で、70年代の唐十郎戯曲に共通する構成を「一幕においての登場人物の紹介、及び事件の発端、二幕におけ … “劇団唐ゼミ☆「蛇姫様-わが心の奈蛇」” の続きを読む

◎劇の厳密なる作動(後編)
 清末浩平

5-散文性の優位

 山口猛は『同時代人としての唐十郎』(三一書房、1980年)の中で、70年代の唐十郎戯曲に共通する構成を「一幕においての登場人物の紹介、及び事件の発端、二幕における展開(この場合、ほとんどヒロイン、あるいはヒーローが傷つく)、そして三幕におけるヒロインの再生と後日譚」というふうに明快に整理し、唐がこの戯曲構造を「崩すことなく守っている」ことを批判的に重要視している。扇田昭彦もまた、唐十郎全作品集第4巻(冬樹社、1979年)の解題において「唐十郎の戯曲は、一編一編が独立しながらも、しかし結局のところ、同心円状に渦まくいつも共通のドラマを読んでいるのではないかという印象を私たちに与える。[……]唐十郎のドラマの原型を探ることは、つねに唐十郎読解の基本作業であろう」と述べる。

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劇団唐ゼミ☆「蛇姫様-わが心の奈蛇」

◎劇の厳密なる作動(前編)
清末浩平

1-前提……状況の中で

「蛇姫様-わが心の奈蛇」公演チラシ唐十郎の劇について今日何事かが語られるとき、かつて唐の提示した「特権的肉体」を初めとする術語群が用いられることほど、陳腐で心そがれる光景はない。唐の『特権的肉体論』が仰々しいマニュフェストとして読まれざるをえない時代のあったことを否認する必要もあるまいが、しかし、同書の中に並ぶ文章がすべてエッセイにすぎぬことは明白であり、ある状況下に置かれたある書き手の瞬発的な反応以上のものを『特権的肉体論』から読み取ろうとする試みは、すべて否応なく誤読となる。実際、書き手であるところの劇作家も、40年も前に書き捨てた例のエッセイを、もはや一顧だにしていないではないか。
彼が戯曲を書く際の驚嘆すべき速筆に象徴されるように、唐十郎の特質のひとつは、文字を書き捨ててゆくその異様なまでの速度である。状況に対する直観的感応力と言い換えてもよい。時が過ぎ状況が変化したいま、40年前のエッセイを参照せねばならぬ理由はどこにもなく、我々は赤い表紙のあの書物を本棚の隅にしまって、身ひとつで劇場へ出かければよいのだ。唐作品の上演される劇場へ。

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3人で語る「2010年8月はコレがお薦め!」

★カトリヒデトシさんのお薦め

「2001-2010年宇宙の旅」公演チラシ東京デスロック「2001-2010年宇宙の旅」(キラリ☆ふじみ 水の広場 特設野外ステージ8月4日‐8日)
・平田オリザ+石黒浩研究室(大阪大学)「ロボット版『森の奥』」(愛知芸術文化センター8月21日-24日)
・「墨東まち見世2010『墨田区在住アトレウス家 Part1』」(旧アトレウス家7月31日・8月1日)
★鈴木励滋さんのお薦め
東野祥子ソロダンス「私はそそられる-Inside Woman」(世田谷美術館 くぬぎ広場7月31日-8月1日)
金魚(鈴木ユキオ)「HEAR」(金沢21世紀美術館シアター21 8月21日・22日)
セレノグラフィカ「グレナチュール-横濱番外地」(横浜美術館レクチャーホール8月7日)
★徳永京子さんのお薦め
快快[faifai]×B-Floor「Spicy,Sour,and Sweet」(東京芸術劇場8月13日~15日)
・彩の国ファミリーシアター「音楽劇『ガラスの仮面-二人のヘレン-』」(彩の国さいたま芸術劇場8月11日‐27日)
真心一座 身も心も「流れ姉妹 たつことかつこ 第一章再演」(TOKYO FMホール8月19日~28日)

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3人で語る「2010年7月はコレがお薦め!」

吾妻橋ダンスクロッシング・チラシ表
★カトリヒデトシさんのお薦め
維新派「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」(犬島精練所跡 野外特設劇場7月20日‐8月1日)
百景社 野外公演2010「授業」(茨城県つくば市豊里ゆかりの森 特設野外劇場7月8日‐11日)
第17回BeSeTo演劇祭(新国立劇場・こまばアゴラ劇場・アトリエ春風舎・静岡県舞台芸術公園・鳥の劇場 6月29日‐7月25日)のうち、柿喰う客「Wannabe-日中韓俳優出演・3カ国語版」(アトリエ春風舎 6月29日-7月19日)
★鈴木励滋さんのお薦め
吾妻橋ダンスクロッシング・チラシ裏・「吾妻橋ダンスクロッシング」(アサヒ・アートスクエア7月16日‐18日)
ミクニヤナイハラプロジェクト「幸福 オン the 道路」(STスポット7月2日‐4日、9日‐11日)
・toi presents 5th「華麗なる招待‐The Long Christmas Dinner‐」(STスポット7月23日‐8月1日)
★徳永京子さんのお薦め
ブス会「女の罪」(リトルモア地下7月29日-8月10日)
劇団、江本純子「婦人口論」(東京芸術劇場小ホール7月15日‐25日)
・「空白に落ちた男」(パルコ劇場7月24日‐8月3日)

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プロジェクトあまうめ「よせあつめフェスタ」

◎「つぶやき」から二週間で公演 興奮と喧騒  カトリヒデトシ  終演後、観客にも大入袋が配られ打ち上げとなった。興奮の余韻を噛みしめつつ賑やかに歓談に移った。そんな中、風琴工房の詩森ろばさんが脚立を持ち出して、照明を外し … “プロジェクトあまうめ「よせあつめフェスタ」” の続きを読む

◎「つぶやき」から二週間で公演 興奮と喧騒
 カトリヒデトシ

 終演後、観客にも大入袋が配られ打ち上げとなった。興奮の余韻を噛みしめつつ賑やかに歓談に移った。そんな中、風琴工房の詩森ろばさんが脚立を持ち出して、照明を外し始めた。いつものようにチュニック・ジーパン姿の女性らしい姿である。確かに打ち上げと平行してバラしを行うとアナウンスがあったが演出助手とはいえベテランが黙々と働いているのは、まぶしかった。制作総指揮の松本隆志とその勇姿を見上げつつ、「すごい状況だね」「ほんとですね」「申し訳ないようだが、こういうイベントだったんだよね」「まさにそうですよね」という会話をした。

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「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」

◎暗闇で感じる「日常からの自由」
カトリヒデトシ

どこまでも上空が開かれている感覚。この空間には終わりがないのかもしれないと感じさせる。
広々としたところにいる「畏れ」よりも、満たされていく解放感への戸惑いだった。
…おかしいな。ここはビルの地下のはずなのに。
私が暗闇の中で感じていたのは、そういった虚空へ自分が開かれていくような開放感であった。

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3人で語る「2010年6月はコレがお薦め!」

青☆組「恋女房達」公演チラシ★カトリヒデトシさんのお薦め
青☆組「恋女房達」(アトリエ春風舎 6月3日-8日)
乞局「裂躯(ザックリ)」(笹塚ファクトリー 6月16日-21日)
南河内万歳一座「びっくり仰天街」(ザ・スズナリ 6月2日‐6日)、クロムモリブデン「恋する剥製」(HEP HALL 6月4日-8日、赤坂RED/THEATER 6月22日-7月4日)、売込隊ビーム「トバスアタマ」(「劇」小劇場 6月3日-6日)
★鈴木励滋さんのお薦め
快快(ファイファイ)「SHIBAHAMA」(東京芸術劇場小ホール 6月3日-13日)
キコqui-co.「カナリアの心臓」(神楽坂die pratze 6月11日-14日)
A.C.O.A.「共生の彼方へ」ベストセレクション「―共生の彼方へV ―どんぐりと山猫」(atelier SENTIO 6月17日-18日)、「―共生の彼方へI ―霧笛」(atelier SENTIO 6月19日-20日)
★徳永京子さんのお薦め
インパラプレパラート×エビビモpro.合同公演「エビパラビモパラート」(東京芸術劇場小ホール 6月3日-6日)
・文学座公演「麦の穂の揺れる穂先に」(紀伊國屋サザンシアター 5月31日-6月9日)
庭劇団ペニノ「アンダーグラウンド」(シアタートラム 6月6日-13日)

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