◎廃墟でも踊り続ける 舞台を支配する意志と身体
志賀信夫
東野祥子は、東京では、トヨタ・コレオグラフィーアワードで、一気に注目を集めた。奈良に生まれてモダンダンスを学んだが、モダンダンス界とは離れて、関西で独自の活動を活発に行っていた。維新派から派生したグループに参加し、スタジオ、活動拠点やカフェをつくり、多くのミュージシャンやアーティストとコラボレーションを行いながら、2000年、女性2人とBaby-Qを結成。初めて応募したトヨタ・アワードで2004年に大賞「次代を担う振付家賞」を受賞した。
★カトリヒデトシさんのお薦め
★カトリヒデトシさんのお薦め
ロンドン生まれの悪童、マーティン・マクドナーが両親の出身地であるアイルランドのリーナン地方を舞台にした悪漢演劇3部作シリーズの2作目がこれです。題名の『コネマラの骸骨』のコネマラは、そのリーナン地方を含めた景勝地の名前だそうですが、景勝地とは似ても似つかぬ「正体不明の謎の男の殺しの疑惑」が今回のテーマなのでしょうか。
▽ヴァギナとフェミニズム
座・高円寺のこけら落とし公演「化粧」と、シアタートラムのシスカンパニー公演「楽屋」が、ほぼ同じ時期に上演されていたのは、僕にとっては嬉しい偶然だった。どちらも“楽屋”が舞台で、“女優”をモチーフにした芝居であり、チラシも“化粧”をしている女優の写真。しかも、名作と呼ばれている戯曲の何度目かの再演(「化粧」の初演は1982年、「楽屋」の初演は1977年)と、共通点の枚挙に暇がない。もちろん、「化粧」は一人芝居であり、「楽屋」は女優四人の芝居だから、そこのところは大きく違う。ストーリーだって全然違う。観劇後の僕の満足度(つまり、僕が感じた芝居の出来)だって、180度違った。しかし、その違いをつぶさに見比べると、太いつながりを感じずにはいられなかった。