ユニークポイント 『あこがれ』

 2001年の初演以後、地方公演を経て今回BeSeTo演劇祭で再演されたユニークポイントの『あこがれ』は、太宰治『斜陽』を原作としながらそれとまったく毛色の違う、別の話に再構築された作品。小説で物語の裏にひっそりと隠され … “ユニークポイント 『あこがれ』” の続きを読む

 2001年の初演以後、地方公演を経て今回BeSeTo演劇祭で再演されたユニークポイントの『あこがれ』は、太宰治『斜陽』を原作としながらそれとまったく毛色の違う、別の話に再構築された作品。小説で物語の裏にひっそりと隠されていたものを繊細に表舞台に引きずり出した戯曲は、『斜陽』を準拠にはするも奇を衒った新解釈は狙わない、山田裕幸という劇作家のスタイルが明確に示されている。

“ユニークポイント 『あこがれ』” の続きを読む

鵺の会 『場景』

 BeSeTo演劇祭の中でも注目劇団の一つである鵺の会を都立戸山公園につくられた特設会場で観た。作品はジョルジュ・バタイユ『松毬の眼』と太宰治『燈籠』を原作に編まれた『場景』。構成・演出をつとめる久世直之の実験精神が満々 … “鵺の会 『場景』” の続きを読む

 BeSeTo演劇祭の中でも注目劇団の一つである鵺の会を都立戸山公園につくられた特設会場で観た。作品はジョルジュ・バタイユ『松毬の眼』と太宰治『燈籠』を原作に編まれた『場景』。構成・演出をつとめる久世直之の実験精神が満々と浸した舞台はまさに、「前衛」と云う名で呼んでも決して遜色のない精練された知的冒険の世界だった。

“鵺の会 『場景』” の続きを読む

演劇集団 円「ビューティークイーン・オブ・リーナン」

「ビューティークイーン・オブ・リーナン」公演チラシ

 演劇集団 円の「ビューティークイーン・オブ・リーナン」公演が東京・両国のシアターΧで開かれています(11月16日-22日)。原作は、いま脂の乗っている英国の作家マーティン・マクドナーの戯曲第1作。1998年にトニー賞4部門を受賞、世界各地で上演されたそうです。ファッションやデザインの世界が長かった佐々木眞さんから、この公演のレビューが寄せられました。芝居は「年に1本ぐらいしかみない」と言いますが、どうしてどうして。奔放・闊達、読みごたえのある文章です。以下、全文です。

“演劇集団 円「ビューティークイーン・オブ・リーナン」” の続きを読む

アル・ムルワッス劇団「イラクから、船乗りたちのメッセージ」

――自由と平和の国!?へ、バグダッドからオリーブの枝をくわえて飛んできたかもめたち――  Al-Murwass Group Folklore and Modern Artsの“Message Carried by Shi … “アル・ムルワッス劇団「イラクから、船乗りたちのメッセージ」” の続きを読む

――自由と平和の国!?へ、バグダッドからオリーブの枝をくわえて飛んできたかもめたち――

 Al-Murwass Group Folklore and Modern Artsの“Message Carried by Ship from Iraq”は東京、名古屋、大阪と、まるで16号台風に逆らうようにして元気に駆け抜けていった(10/3~25)。イラクの人を見るのは初めて、ましてやその舞台を見るなんて全く未知との遭遇だったといえる今度の新鮮体験は、実に実に多くの挿話と驚きを私に残していってくれた。 

“アル・ムルワッス劇団「イラクから、船乗りたちのメッセージ」” の続きを読む

庭劇団ペニノ 「黒いOL」

――新宿西口広場の、今日、たった今―― 庭劇団ペニノ 「黒いOL」  右手から静かに裸身の女性が出てきて、薄暗い舞台の真中、客席から見おろすと凸型に見える水溜りの窪みをビジョビジョと奥のほうへとゆっくり渡っていき、やがて … “庭劇団ペニノ 「黒いOL」” の続きを読む

――新宿西口広場の、今日、たった今―― 庭劇団ペニノ 「黒いOL」

 右手から静かに裸身の女性が出てきて、薄暗い舞台の真中、客席から見おろすと凸型に見える水溜りの窪みをビジョビジョと奥のほうへとゆっくり渡っていき、やがてその尖端でぼんやり立ち尽くす……と、舞台は果てた。もし私が男だったらここで最高のエロスを感じた、のかも知れない。私はひとりクスクス笑っていた。ペニノのいたずら?がおもしろかった。

“庭劇団ペニノ 「黒いOL」” の続きを読む

少年社中「アサシンズ」

 少年社中「アサシンズ-THE VALLEY OF ASSASSINS」公演が中野ザ・ポケットで開かれました(11月06-14日)。「休むに似たり。」サイトは「鮮やかなビジュアルとスピード感、RPG的ファンタジー世界が身 … “少年社中「アサシンズ」” の続きを読む

 少年社中「アサシンズ-THE VALLEY OF ASSASSINS」公演が中野ザ・ポケットで開かれました(11月06-14日)。「休むに似たり。」サイトは「鮮やかなビジュアルとスピード感、RPG的ファンタジー世界が身上の社中の新作。楽園に戻りたくて暗殺を繰り返す追放者を現代の衝動的殺人の多発に重ね、人が一緒にいることって何かを描く一本」とまとめています。
 「しのぶの演劇レビュー」は、「メルマガ号外にあと一歩の傑作でした!」とまず一言。(「しのぶ」さんは、これはという舞台をメルマガ号外に載せ、登録読者に観劇を勧めているのです) そのあと「テレビゲーム、大した動機もなく起こる殺人、テロリズム、家庭(夫婦)崩壊、そして中近東(の衣裳ビジュアル)等、まさに「今」のトピックをふんだんに取り上げながら、言葉と心、愛といった人間の普遍的なテーマを語ります。少年社中が得意とする複数の世界が交錯していく構成も、この作品では特に重要で巧みに作用していました」と述べています。

Ort-d.d 『こゝろ』

 たとい日常生活からそれらが失われ、またわたしたちが実感として「日本」を愛することが難しいにしろ、日本人であるという血の嗜好は決して拭い去れるものではない。おそらくは自然の衝動として、日本の風土や文物に云い知れぬなつかし … “Ort-d.d 『こゝろ』” の続きを読む

 たとい日常生活からそれらが失われ、またわたしたちが実感として「日本」を愛することが難しいにしろ、日本人であるという血の嗜好は決して拭い去れるものではない。おそらくは自然の衝動として、日本の風土や文物に云い知れぬなつかしさを覚える。年中行事はすでに習慣として暮しの中に根を張っており、イベント化の誹りを受けもしようが、やはり新年のはじまりには幾万の足が寺社仏閣に向かう。桜に携帯電話を向けるのも一つの愛し方であろうと思う。

“Ort-d.d 『こゝろ』” の続きを読む

Ort-d.d「こゝろ」

 東京国立博物館・表慶館を使った「四谷怪談」で評判となったOrt-d.dが、2000年に初演した夏目漱石の「こゝろ」を再演しました(11月10-11日)。早稲田大学周辺で11月後半に集中して開かれているBeSeTo演劇祭 … “Ort-d.d「こゝろ」” の続きを読む

 東京国立博物館・表慶館を使った「四谷怪談」で評判となったOrt-d.dが、2000年に初演した夏目漱石の「こゝろ」を再演しました(11月10-11日)。早稲田大学周辺で11月後半に集中して開かれているBeSeTo演劇祭・東京公演の2番手(トップバッターは東京オレンジ)。会場は学習院女子大のやわらぎホールでした。2人の男が下宿する家の母子は、ここでは姉妹に組み替えての上演。漱石が直面した「近代化」との格闘をどう取り込んだかの見方を含めて、再演の評価は多様でした。

“Ort-d.d「こゝろ」” の続きを読む

「ダンスが先?音楽が先?-振付家と作曲家の試み」

 京都橘女子大の小暮宣雄さんが演劇やダンスなどに接した体験をつづる「こぐれ日記〈KOGURE Journal〉」は、ライブ感覚にあふれた貴重なリポートが掲載されています。最新報告は「「ダンスが先?音楽が先?-振付家と作曲 … “「ダンスが先?音楽が先?-振付家と作曲家の試み」” の続きを読む

 京都橘女子大の小暮宣雄さんが演劇やダンスなどに接した体験をつづる「こぐれ日記〈KOGURE Journal〉」は、ライブ感覚にあふれた貴重なリポートが掲載されています。最新報告は「「ダンスが先?音楽が先?-振付家と作曲家の試み」。これは京都芸術センターの企画事業「コンテンポラリーダンス・ラボ」のシリーズで、10月27日に同センターで開かれました。

“「ダンスが先?音楽が先?-振付家と作曲家の試み」” の続きを読む

松田正隆作、平田オリザ演出「天の煙」

 財団法人地域創造と各地の公共ホールが共同で企画・製作(公共ホール演劇製作ネットワーク事業)した、松田正隆作、平田オリザ演出「天の煙」が10月末から12月初めまで各地で開かれています。皮切りの埼玉公演をみた牧園直さんから、力のこもったレビューが寄せられました。以下、全文です。

“松田正隆作、平田オリザ演出「天の煙」” の続きを読む