忘れられない一冊、伝えたい一冊 第22回

◎「日常生活の冒険」(大江健三郎著 新潮文庫)
  市原幹也

「日常生活の冒険」表紙
「日常生活の冒険」表紙

本の紹介からしよう。出版元のデータベースに、こうある。

『たぐい稀なモラリストにして性の修験者斎木犀吉―彼は十八歳でナセル義勇軍に志願したのを手始めに、このおよそ冒険の可能性なき現代をあくまで冒険的に生き、最後は火星の共和国かと思われるほど遠い見知らぬ場所で、不意の自殺を遂げた。二十世紀後半を生きる青年にとって冒険的であるとは、どういうことなのであろうか? 友人の若い小説家が物語る、パセティックな青春小説』

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TPAM in Yokohama 2013

◎TPAMエクスチェンジ「地域演劇」グループミーティングレポート
  廣澤 梓

 TPAMが開催地を東京から横浜に移して3年目の今年。それは名称を「東京芸術見本市」(Market)から「国際舞台芸術ミーティング」(Meeting)に変更して3年ということでもある。
 提携事業としてON-PAM(舞台芸術制作者オープンネットワーク)の設立イベントが行われたこともあり、2013年のTPAMは舞台制作者のネットワーク作りの場という性格をより打ち出そうとしていたのではないか。
 ネットワーキング・プログラムの一環として開催されたTPAMエクスチェンジは、青年団・こまばアゴラ劇場の制作であり、ON-PAMの発起人のひとりでもある野村政之さんがファシリテーターを務めた。
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国際演劇協会「第三世代」(紛争地域から生まれた演劇4)

◎『第三世代』と「リーディング公演」との意外な相性
  横堀応彦

「第三世代」リーディング公演チラシ
「第三世代」リーディング公演チラシ

 ドイツと日本を行ったり来たりする生活を始めてから1年以上が経った。
 最近ようやく演劇やオペラの舞台上で使われるドイツ語が分かるようになってきたものの、こちらに来た当初は何のことだか全くわからず、古典ならば話の内容も分かるはずと、ベルリン・シャウビューネ劇場(以下、シャウビューネと略す)で『ヘッダ・ガブラー』を見たときのこと。上演の終盤で客席からテスマン役を演じた同劇場の主演俳優ラース・アイディンガーに対して「前回見たときより、今日のお前にはやる気が感じられない!ちゃんとやれ!」とダメ出しが飛び出したのだ。
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マームとジプシー「あ、ストレンジャー」

◎むうちゃんとゾンビとキリストとを巡って
  福田夏樹

 今度はグアムで無差別殺傷事件が起きた。常夏の島グアムでの深夜の事件。
 ワイドショーでは、金か、薬物中毒か、男女関係か、納得のいく動機を探すのに必死だ。そしてコメンテーターは問う。「グアムには死刑はないんですよね。」。関心は、犯人にいかに厳罰を科すか、願わくば、極刑を科すことができないか。その点に集中する。果たして、犯人に厳罰を科すことで得られるものはなんなのか。犯人はただの罰すべき他者なのだろうか。
 そんなことを考えながら、犯行後に座り込む犯人の姿をテレビにみていると、むうちゃんの姿を思い出さざるをえなかった。
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座・高円寺2013年度プログラム

◎佐藤信の新作「リア」ほか年間30作品を上演

 座・高円寺の2013年度プログラム説明会が、4月1日、座・高円寺の阿波おどりホールで開催された。
 2013年4月から2014年3月までに上演される主催、提携公演の演出家、劇作家たちが集まり、自作のプレゼンテーションを行った。座・高円寺での2013年度の舞台公演は30本余り、このうち8企画12公演が劇場主催公演で、ほかが日本劇作家協会などとの提携企画となる。劇場主催公演としては、劇場芸術監督の佐藤信の新作「リア」が今年新たにレパートリーに加わった。シェイクスピアの「リア王」を渡辺美佐子、田中壮太郎(俳優座)、植本潤(花組芝居)の三名の役者だけで再現する試みで、5月17日から5月26日まで上演される。
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ふじのくに⇄せかい演劇祭2013

◎「黄金の馬車」(宮城聰演出)と「室内」(クロード・レジ演出)を世界初演

ふじのくに⇄せかい演劇祭2013チラシ

 「ふじのくに⇄せかい演劇祭2013」(6月1日-30日)のプレス発表会が3月28日東京で開かれ、今年のラインナップが紹介された。今年は7か国の8演目が上演される。
 主催するSPAC(静岡県舞台芸術センター)の宮城聰芸術総監督はジャン・ルノワール監督の映画に着想を得た新作「黄金の馬車」を演出する。また、今年90歳を迎えるフランスの大家クロード・レジが演出、SPAC団員が出演する「室内」が世界初演される。
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鵺的「幻戯[改訂版]」

◎ ひとりの人間を見続ける
  林あまり

「幻戯」公演チラシ
「幻戯」公演チラシ

 嬉しいほど暗い。ひとりの人間を見続ける、その行為を堪能した。
 鵺的「幻戲」(作・演出 高木登)を観てから、ひと月近く経つというのに、幾度もあの、濃密な空間を思い出す。様々な場面、セリフがよみがえっては、(あれはどういう意味なんだろう)と考え込む。
 性の芝居、なのだろうか。確かに、舞台は売春宿だし、登場人物がたびたび話題にするのはセックスだ。しかしどうもそれだけではないらしい。
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雲南市演劇によるまちづくりプロジェクト実行委員会「水底平家」

◎「市民演劇」のさらに先へ
  小川志津子

「水底平家」公演チラシ
「水底平家」公演チラシ

 島根県雲南市で今回3回めとなる「雲南市演劇によるまちづくりプロジェクト」が、回を重ねるごとに注目度を増している。雲南市在住の県立高校教師で演劇部顧問、亀尾佳宏の作・演出で、今年は『水底平家』が上演された。もとは演劇部員向けに書かれた60分の物語に、大幅なリライトとアレンジを加えて2時間の作品へとブラッシュアップ。出演者とスタッフは公募により集められ、総勢60名の大所帯となった。昼間は会社や学校に通う、演劇初心者から現役演劇人までが顔を揃える。普段はコンサートや映画上映に使われる公共ホールの1階席が、計3ステージとも、ほぼ埋まった。
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【レクチャー三昧】2013年4月

 少なくて申し訳ございませんが、新年度の催し告知は未だ殆ど出ておりません。4月1日以降に告知されたものは【レクチャー三昧】カレンダー版に入力いたしますので、そちらをご覧下さい。
(高橋楓)
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ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「ルル」

◎劇評セミナー第8回 報告と課題劇評

「ルル」公演チラシ
「ルル」公演チラシ

 劇評を書くセミナー第8回は3月8日(金)、東京芸術劇場セミナールームで開かれました。取り上げたのは、ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場「ルル」公演(2013年2月27日-3月3日)です。講師は扇田昭彦さん(演劇評論家)でした。ルーマニアで開かれているシビウ国際演劇祭にたびたび足を運んでいるだけに、扇田さんは今回の「ルル」公演招聘のきっかけとなったエピソードを交えて、ルーマニア演劇、プルカレーテ演出の特性と魅力を語りました。
 東京劇術劇場のステージ上に造られたU字型の観客席、ルルという女性の性格と造形、圧倒的な俳優の身体性と演出など、特徴のある舞台に挑んだ劇評がそろいました。
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