ルイス・ガレー「メンタル・アクティビティ」
木ノ下歌舞伎「三人吉三」
番外 She She Pop アーティストトーク

◎モノの魂――KYOTO EXPERIMENT 2014報告(第3回)
 水牛健太郎

 私が京都に行ったのは11日(土)、台風19号はまだ沖縄にあり、京都は気持ちよく晴れていた。これまで3週、雨には一度も降られていないのはありがたい。
 今回、諸事情により予算を切り詰めており、来週も含め4週とも宿泊はなく、滞在は1日きり。食事は基本カロリーメイトだし、観光らしいこともしていない。空き時間は公園などで本を読んだり、原稿を書いたり。これはこれで、後々懐かしく思い出すような気がして、しみじみとした幸福感を味わっている。
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村川拓也「エヴェレットゴーストラインズ」
ルイス・ガレー「マネリエス」
She She Pop「春の祭典――She She Popとその母親たちによる」

◎隠すほど現れるもの――KYOTO EXPERIMENT 2014報告(第2回)
 水牛健太郎

 京都行の高速バスではせいぜい4~5時間しか眠れず、午前中梅小路公園で仮眠を取ろうとしたが、読んでいた本が面白すぎてうまくいかなかった。観劇中に寝てしまうのではと心配したが、この日3演目とも一瞬も眠くなることがなかったのだから、この週の演目がいかに充実していたかということだろう。どういうわけか3演目とも女性演者が上半身裸になる場面があったので、そのせいもあるかもしれない。一昨年だったか、海外演目で男性演者がやたらと男根を露出した年があったが、こういうのをシンクロニティと言うのだろうか。たぶん違うと思うが。
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ルイス・ガレー「マネリエス」
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ダンカン・マクミラン「The Forbidden Zone」ザルツブルク音楽祭演劇公演

◎通りすがりのザルツブルク、「きっかけ」としてのスペクタクル
 高橋英之

 安心した。舞台の上に、大きなスクリーン。これだけ大きなスクリーンだと、字幕も読みやすいだろう。『The Forbidden Zone』という<演劇>は、タイトルこそ英語なのだけど、セリフは英語とドイツ語のバイリンガル上演のようだから、ドイツ語の部分は英語の字幕がないとちょっと心もとない。字幕があっても、そのスクリーンが小さいと、舞台と並行して見ることが難しいことが多くて、ストーリーが追いにくい。でも、舞台の幅の半分以上もあるような大きさのスクリーンだと、その心配はない。そもそも、脚本家も演出家もイギリス人のようだし、字幕がしっかりしていれば、きっと普通に楽しめる<演劇>のハズだ。それにしても、舞台の上は装置で立て込んでいる。左手前には、実物大の列車が置かれ、舞台奥には複数に区切られた部屋がある。こんな空間で、どのような<演劇>が展開されるのだろう。そう思いながらの、観劇前の客席。オーストリア・ザルツブルク郊外、ペルナー・インゼル劇場。期待は、冒頭から、全く違った方向で裏切られる。舞台の上で始まったのは、<映画>だった。
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「2014国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ」

◎キジムナーと呼んでいた祭りを、別の名前にしてみても、強い志はそのまま
 鈴木アツト

kijimuna2014_suzuki_atsuto 「アジアで国籍を超えた劇団を作って、アジア中の子供たちに素晴らしい児童演劇を見せて回りたい。それが私の夢です。」

 2014国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ(昨年までの名称はキジムナーフェスタ)の総合プロデューサーの下山久さんの言葉には、不覚にも心を揺さぶられた。今年で10周年を迎えたこのフェスに、私は観客として7月30日から8月3日までの5日間、参加した。これは、その5日間のレポートである。
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高嶺格「ジャパン・シンドローム~step3.“球の外側”」
ティナ・サッター/ハーフ・ストラドル「House of Dance」

◎物語をいかに生成しないか――KYOTO EXPERIMENT 2014報告(第1回)
 水牛健太郎

 今年は秋の訪れが早い。京都も9月末にしてすっかり秋模様。抜けるような青い空に京都タワーがそびえたつ。条件さえ合えばすぐさま、絵ハガキもかくやという景色を見せる、腕利きエンターテイナーのようなこの街に、今年も帰ってきた。今回から4週にわたり、公式プログラムを中心に京都国際舞台芸術祭(KYOTO EXPERIMENT 2014)のレポートをお届けする。
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はえぎわ「ハエのように舞い 牛は笑う」

◎劇評を書くセミナー 東京芸術劇場コース2014 第3回 報告と課題劇評

チラシ 劇評を書くセミナー2014の第3回を9月13日に開催しました。課題公演ははえぎわの「ハエのように舞い 牛は笑う」です。聴講も含め17人の方が参加しました。
 講師は元「新劇」編集長でライター&エディターの岡野宏文さん。まず最初に岡野さんの考える劇評を書く上でのポイントが披露されたのち、提出された劇評についての個別の質問やコメントへと続きました。劇評執筆で具体的ですぐに取り入れられるヒントに満ちた2時間半でした。筆者の了解が得られた劇評を掲載します。(編集部)
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SPAC『マハーバーラタ』アヴィニョン演劇祭公演

◎異国趣味と普遍性:フランスの劇評から読み取る宮城聰演出
 片山幹生

【目次】

  1.  はじめに「悦びはわれらとともに! ほら、ここに平和を見出せり!」
  2.  アヴィニョン演劇祭とは何か
  3.  ブルック『マハーバーラタ』の幻影
  4.  観客を取り囲む舞台
  5.  音楽
  6.  甘美な童話の世界へ
  7.  卓越した俳優の技術、ユーモア、そして阿部一徳の語り
  8.  絶賛の声
  9. 「詩的で政治的なフェスティヴァル」の実現:教皇庁前広場での無料特別公演の反響
  10.  総括:ジャポニスム、オリアンタリスムから普遍へ
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世田谷パブリックシアター「マクベス」

◎二つの誘惑、一つの限界
 山本博士

【「マクベス」公演チラシ】
【「マクベス」公演チラシ】

 能楽師であり俳優の野村萬斎が、シェイクスピアの悲劇『マクベス』の構成、演出、主演を担う本公演は、2008年、シアタートラムでのリーディング公演を経て、2010年に世田谷パブリックシアターにて初演を迎え、ソウルやニューヨークでも上演されたものの再演である[注1]。6月初旬のパリと、ルーマニアのシビウでの公演を経て、日本公演が執り行われた。彼は2002年から世田谷パブリックシアターの芸術監督を務めており、1990年のジョナサン・ケント演出の『ハムレット』では主役を演じ、2007年の『リチャード三世』の翻案作品『国盗人』で主役を演じるとともに、演出も担当した。もちろんそれだけには留まらずにシェイクスピア作品に深く関わってきた萬斎だが、そんな彼の『マクベス』は劇の始めから不穏な空気が漂っていた。
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ままごと「戯曲公開プロジェクト」をめぐるインタビュー(2)

◎「いま・ここ」を超える劇性の作り手
 關智子

 前回の記事では、「ままごと」の柴幸男氏と制作・宮永琢生氏に「戯曲公開プロジェクト」の企画意図と今後の発展についてお話を伺った。そこで改めて、「劇作家とはどういう職業なのか?」という問いが浮上した。
 現在、ヨーロッパを中心に、劇作家の仕事を問い直す動きが見られる。それは、いわゆる「戯曲らしい戯曲」を書かない劇作家が増えていることに起因する。
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連載「もう一度見たい舞台」第8回 蜷川幸雄演出「近代能楽集 卒塔婆小町」

◎観劇は初恋のように
 高羽彩

 私の、「演劇」というものに対する興味の芽生えは、小学校中学年頃。
 わりと早いほうなんじゃないかと思う。
 とはいっても「物心ついた頃から子役として活躍してました!」なんて人と比べれば全く話にならないし、興味が芽生えたといっても「将来は女優さんになりたいです!」なんて具体的な目標を早くから掲げたわけでもない。
 あくまでも「なんとなく」。
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