◎自己犠牲の死は美しいのだろうか?
今井克佳
静岡に向かう間に、念のためどこかで目を通すかもしれないと、バッグにいれた携帯電子書籍端末には無料で「購入」した原作のテキストをダウンロードした。昔何度か読んだはずの作品だ。すでに著作権フリーになっている宮沢賢治のテキストはネットで手軽に手に入れることができる。
現在、「国民作家」的人物をあえて一人あげるとすればそれは宮沢賢治であり、誰もが各自のイメージを持っている、と演出の宮城總は言う。しかし、演劇でもしばしばとりあげられる「銀河鉄道の夜」に比較して、それに匹敵する長編童話である「グスコーブドリの伝記」はなぜほとんどとりあげられないのか。その疑問が舞台化の発想の一端となっているようである(SPACウェブサイト公開の宮城のインタビュービデオより)。
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