遊園地再生事業団「トータル・リビング 1986-2011」

◎劇評を書くセミナーF/T編 第4回 課題劇評 その1

「トータル・リビング」公演チラシ
「トータル・リビング」公演チラシ

 ワンダーランドの「劇評を書くセミナーF/T編」第4回は11月12日(土)、にしすがも創造舎で開かれました。取り上げた公演は、遊園地再生事業団「トータル・リビング 1986-2011」(2011年10月14日-24日)と岡崎藝術座「レッドと黒の膨張する半球体」(10月28日-11月6日)です。講師の木村覚さん(日本女子大講師)も劇評を執筆。参加者の原稿と併せて公演内容や時代背景、劇作家の特質などにも話が及びました。
 最初に「トータル・リビング 1986-2011」評4本を掲載します。
 この作品は若い女性が舞台奥に飛び降りるシーンを早々に配置。バブル前夜の1986年(チェルノブイリ原発事故が起こった年)と2011年を往還しながら「忘却」と「欠落」をさまよい、「世界の歪みとそれでもなお続く私たちの生活が浮かび上がる」(FTサイト)舞台を、それぞれどのようにとらえたのか-。じっくりご覧ください。掲載は到着順です。

1.「忘却」を忘れられない者たちは、この作品で「忘却」を忘却できるだろうか? (髙橋英之)
2.幽霊と記号あるいは没入と忘却 (木村覚)
3.白くつるんとしたもの (都留由子)
4.忘却に抗い穴を穿て (山崎健太)

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岡崎藝術座「レッドと黒の膨張する半球体」

◎劇評を書くセミナーF/T編 第4回 課題劇評 その2

公演チラシ
公演チラシ

 ワンダーランドの「劇評を書くセミナーF/T編」第4回は11月12日(土)、にしすがも創造舎で開かれました。取り上げた公演は、遊園地再生事業団「トータル・リビング 1986-2011」(2011年10月14日-24日)と岡崎藝術座「レッドと黒の膨張する半球体」(10月28日-11月6日)です。講師の木村覚さん(日本女子大講師)も劇評を執筆。課題原稿をたたき台にして、公演内容や時代背景、劇作家の特質などが話し合われました。
 岡崎藝術座「レッドと黒の膨張する半球体」はセミナーで取り上げた公演のうち、最もインパクトがあったという意見でほぼ一致しました。不快と不可解の合わせ技がかかり、なおかつ不思議なほど記憶に引っかかるのはなぜか-。以下の6本はそんな謎にも触れながら舞台をさまざまに読み解いています。当日は、岡崎藝術座の神里雄大さんも参加。活発な討論になりました。掲載は到着順です。

1.「移民」というニセのテーマ (髙橋英之)
2. 「レッドと黒の膨張する半球体」評(水牛健太郎)
3.このとりつくしまのない居心地の悪さ(大泉尚子)
4.明快な物語を切実に訴える過剰な表現(小林重幸)
5.孤独で恐ろしい肖像画(木村覚)(初出:artscape 2011年11月1日号
6.汚れることを恐れているのは誰か? 汚れたのは誰か?(クリハラユミエ)
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維新派「風景画-東京・池袋」

◎劇評を書くセミナーF/T編 第3回 課題劇評

「風景画-東京・池袋」公演チラシ
「風景画-東京・池袋」公演チラシ

 ワンダーランドの「劇評を書くセミナーF/T編」第3回は10月22日(土)、にしすがも創造舎で開かれました。取り上げた公演は、維新派「風景画-東京・池袋」(2011年10月7日-16日)です。9月末の瀬戸内・犬島公演をへて、東京のデパート屋上(西武百貨店池袋本店4階まつりの広場)に登場したパフォーマンスはどのように変貌し、都会のど真ん中にどのように出現したのか-。提出された課題作を基に、講師の岡野宏文さん(元「新劇」編集長)のコメントを挟みながら、駅に隣接したデパート屋上という立地の特質、維新派の活動形態や俳優の特徴など活発な話し合いが続きました。
 以下の8本の劇評は、セミナーでの話し合いを基に加筆、修正されました。掲載は到着順です。
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マルセロ・エヴェリン他「マタドウロ(屠場)」
ヤニス・マンダフニス/ファブリス・マズリア「P.A.D.」

◎屠られるもの、眼差し、そして壁
 高嶋慈

KYOTO EXPERIMENT 2011チラシ 今年、第2回目の開催となった「KYOTO EXPERIMENT 2011 京都国際舞台芸術祭」。本評では、獣性の表出と削ぎ落とされた洗練さという点は対照的ながら、身体表現の強度を差し出すとともに、観客が「見ること」の意味をもえぐり出すような2作品-マルセロ・エヴェリン/デモリションInc.+ヌークレオ・ド・ディルソル『マタドウロ(屠場)』とヤニス・マンダフニス/ファブリス・マズリア『P.A.D.』について、クロスする形で取り上げる。
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ヤニス・マンダフニス/ファブリス・マズリア「P.A.D.」” の
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【レクチャー三昧】2011年11月(と12月の一部)

 この時期レクチャーの検索をしつつ胸の内に唱うるは、「世の中にたえてF/Tなかりせば秋の心はのどけからまし」。どのみち、同じ日時にはひとつの催しにしか行けないわけなんですが。
(高橋楓)
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世田谷パブリックシアター「現代能楽集 VI 奇ッ怪 其之弐」

◎<劇的>なるものの威力
 高橋 英之

「現代能楽集VI『奇ッ怪 其ノ弐』」公演チラシ 「このあとすぐ、アレが、この村を襲ったんだよ」

 このセリフと同時に、全ての光が失われ、音が止み、舞台の上で繰り広げられていた希望あふれる村の祭りの準備の雰囲気がたちどころに消え、正に、<劇的>なるものが降臨した。
 劇作家・木下順二は、<劇的>なるものの効果として、「逆転を伴う発見」ということ指摘している。能の物語ではなく構造そのものにチャレンジした前川知大の『現代能楽集』は、紛れもなく<劇的>なるものを舞台に立ち上げた。死者として舞台に立つシテと、その姿をひたすら見守ることによって魂の救済を試みるワキ。死者と生者の出会いとなる前場と、死者たちの記憶の場を呼び覚ます後場。この夢幻能の構造の力を借りて、前川知大は衝撃的な「逆転を伴う発見」をもたらしてくれた。
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「宮澤賢治/夢の島から」(ロメオ・カステルッチ構成・演出「わたくしという現象」、飴屋法水構成・演出「じ め ん」)
「無防備映画都市-ルール地方三部作・第二部」(作・演出:ルネ・ポレシュ)

◎劇評を書くセミナー2011 F/T編 第2回 課題劇評

F/T2011 ワンダーランドが毎年開いてきた「劇評を書くセミナー」は今年、フェスティバル/トーキョーと提携して始まりました。
 第1回のトークセッション(9月25日)は入門編でしたが、第2回以降は劇評を書く実践編。公演をみて劇評を書き、受講者と公演や劇評の中身を話し合う機会になります。
 第2回(10月1日)で取り上げたのは、F/Tの委嘱作「宮澤賢治/夢の島から」(ロメオ・カステルッチ構成・演出「わたくしという現象」、飴屋法水構成・演出「じ め ん」)と「無防備映画都市-ルール地方三部作・第二部」(作・演出:ルネ・ポレシュ)でした。
 字数は2000字から4000字前後。いずれの公演も野外で開かれ、既成の枠組みから逸脱するような手法と展開だったせいか、セミナー受講者は原稿執筆に苦しんだようです。
 講師は新野守広さん(立教大教授、シアターアーツ編集委員)でした 。新野さんが執筆した2本を含めて提出された計8本の劇評が取り上げられ、ゼミ形式で2時間半余りしっかり討論されました。セミナー終了後の喫茶店で、講師の新野さんを交えてさらに話が尽きませんでした。
 以下、受講者執筆の6本を提出順に掲載します。原稿はセミナーでの議論を踏まえて再提出されました。すでに掲載されている新野さんの劇評と併せてご覧ください。
“「宮澤賢治/夢の島から」(ロメオ・カステルッチ構成・演出「わたくしという現象」、飴屋法水構成・演出「じ め ん」)
「無防備映画都市-ルール地方三部作・第二部」(作・演出:ルネ・ポレシュ)” の
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山田うん「ディクテ」

◎「踊る女(danseuse)」の終わりなき練習-境界線上に立つ身体
 高嶋慈

「ディクテ」公演チラシ テクストと身体表現は、どのような関係を切り結ぶのか?

 山田うんの新作ソロダンス「ディクテ」のベースとなったのは、テレサ・ハッキョン・チャが1982年に著した『ディクテ』である。『ディクテ』は、文学・ジェンダー・ポストコロニアルなどの研究者のみならず、表現者をも深く惹き付けずにはおかない磁場を持つ、魅力的なテクストだ。1951年に韓国で生まれたテレサ・ハッキョン・チャは、冷戦構造下で強まる韓国の軍国主義的体制から逃れるために、少女時代の60年代前半に両親とともにアメリカ合衆国へ移住した経歴を持つアーティストであり、82年に亡くなるまで、パフォーマンスやインスタレーション、映像作品、メール・アートなど、様々な表現手段で作品を制作している。
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【レクチャー三昧】2011年10月(と11月の一部)

 毎秋期、大学での無料講座は豊作です。むろん舞台芸術関連は早稲田大学がダントツなのでいつも真っ先にチェックしておりますが、時折他の大学でもびっくり仰天の催しが見つかります。じっくりご覧下さい。
(高橋楓)
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【レクチャー三昧】2011年9月

【レクチャー三昧】2011年9月
 今秋9月から11月までの開催分を連続講座もふくめ検索したところ、めまいがするくらい沢山見つかってしまいました。フェスティバル/トーキョー11も始まるのにどうしたもんかと思います。ここでは9月開催の一部のみご紹介致しますので、それ以外の分は【レクチャー三昧】カレンダー版をご覧下さい。
(高橋楓)
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