優れた翻訳戯曲を提供した人に与えられる第2回小田島雄志・翻訳戯曲賞は2日、立教大教授の新野守広さんと翻訳家の広田敦郎さんに贈られることが明らかになった。賞金は各10万円。2010年1月18日に東京・池袋のあうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)で贈呈式と祝賀会が開かれる。
同賞実行委員会の発表によると、新野さんの受賞対象となったのは、ドイツの劇作家マリウス・フォン・アイエンブルグ作「火の顔」と、同じくドイツの劇作家ファルク・リヒター作「崩れたバランス」の2作品。「火の顔」は2009年3月、フェスティバル/トーキョー参加作品として東京芸術劇場小ホールで上演された。「崩れたバランス」は同年11-12月に文学座アトリエで公演中。
広田さんの対象作は、英国の劇作家トム・ストッパード作「コースト・オブ・ユートピア ユートピアの岸へ」。三部9時間余の大作で、蜷川幸雄演出によって09年9-10月に渋谷のシアターコクーンで上演された。
小田島雄志・翻訳戯曲賞は、シェイクスピア全集など海外戯曲の翻訳で知られる英文学者で演劇評論でも活躍している小田島雄志さんが個人で選考、決定する。これまで海外戯曲の上演や翻訳・脚色の優れた成果に与えられていた湯浅芳子賞は昨年終了。あとを受けるような形で、昨年スタートした。第1回はL・ウィルソン作「バーム・イン・ギリヤド」を訳した薛珠麗(せつ・しゅれい)さんとイヨネスコ作「瀕死の王」を訳した佐藤康さんが選ばれている。
[参考]
「小田島雄志さんの「翻訳戯曲賞」、2氏に贈呈」(asahi.com/2009年2月25日)