「最前線の演劇知」(後期)第1回報告

◎笑いは知性の生命線、サバイバルに大切な道具です-宮沢章夫さん

宮沢章夫さん ワンダーランド演劇セミナー「クロストーク150分『最前線の演劇知』」(後期)が始まりました。前期に引き続き、演劇ジャーナリストの徳永京子さんのプロデュースによる全5回。第1回の12月10日(土)は、劇作家・演出家の宮沢章夫さんが登場。幅広い年齢層の男女40人が集まりました。

 いとうせいこう、竹中直人らと始めた「ラジカル・ガジベリビンバ・システム」と「遊園地再生事業団」でやろうとしていたことの比較、劇作と小説との違い、「笑い」の分析、最新作「トータルリビング 1986-2011」についてなど、徳永さんの硬軟織り交ぜた問いかけに、当時の秘話も交えながら宮沢さんが受け答え。笑いの絶えないトークになりました。

 まず、宮沢演劇の原点とも言えるのが「ラジカル・ガジベリビンバ・システム」だったようです。当時のパフ-マンスを見ていた徳永さんが「テレビとは違うところで生まれるソリッドな笑いが可笑しくて、かっこよかった」と水を向けると、宮沢さんは「(「ラジカル…」は)当時、演劇だと思われていなかった。苦心したのは、場面と場面をどうつなぐか、どんな音楽を使うか、展開させるか。そんなことばかり考えていた」「どうやって人に伝えるか? というとき、笑によって伝える人はいなかった。笑って伝えるほうが分かりやすいと思う。笑いがあるかないかは知性の生命線、サバイバルに大切な道具。笑いはポジティブなものを持っている」と応えました。

 「ヒネミ」で岸田國士戯曲賞を受賞。その後、実験的な手法を模索して、いわゆるストーリーから離れたとも言われた点については「ストーリーはあまりこだわりがない。常に先のことがわからないものを書いている。興味の対象は俳優の体や街。”劇”に一番興味がある」と述べていました。

 昨秋のフェスティバルトーキョーで上演された「トータルリビング 1986-2011」と震災の関係を問われて、宮沢さんは「正面から向き合った」と述べた上で、「1986年はチェルノブイリ原発事故の起きた年。原発に対して問題意識があったはずなのに欠落した、どこかで忘れてしまった自身に対する怒りに突き動かされてこの作品が生まれた」と話していました。

クロストーク150分後期第1回の宮沢章夫さん
【写真は、宮沢章夫さんと徳永京子さん 撮影=石井雅美 禁無断提供】

 最後に徳永さんが恒例の三つの質問を投げ掛けました。

 徳永 良い戯曲とは?
 宮沢 新しい発見を促してくれる、読み手である私を刺激してくれる戯曲。
 徳永 いい演出とは?
 宮沢 俳優を尊重する演出。どうやったら俳優がよく見えるか。「私」が出ているのは恥ずかしい。
 徳永 いい俳優とは?
 宮沢 バカな人(笑)。

 2人の掛け合い漫才のようなやり取りでセミナーが終わりました。
(編集部)

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