◎劇評を書くセミナー 東京芸術劇場コースII 番外企画2 報告
劇評セミナー番外企画2は、7月6日(土)13時半より、東京芸術劇場のシンフォニースペースで開かれました。
セミナー第1回の課題演目はハイバイ「て」でしたが、そこで提出された12本の劇評をもとに、作・演出を手掛けた岩井秀人さん(ハイバイ主宰)にお話をうかがいました。聞き手はワンダーランド編集長の水牛健太郎が務めました。
まず総体的な感想として、本当に筆者のひとりひとりと会っているような圧を感じたと岩井さん。ご自身の作品の劇評を、これほど多く読む機会ははじめてとのこと。
引き続き、劇評の内容を紹介しながら、筆者が注目した要素ひとつひとつについて岩井さんのコメントをという形で進められました。「て」というタイトルともかかわる、手をかたどった木製のオブジェの話題に始まり、舞台装置、登場人物などについても話が及びました。そこでは、作り手の意図しなかった部分を観客が見出し解釈をするという面も明らかになりました。さらに、ある劇評の「アイロニカルな態度」という表現について、岩井さんは何度か言及。本作では、例えば男性が母を、若い女性が祖母を演じ、結果的に観客は自分の母や祖母といった身近な人の記憶を引き出してくるのではないか、そういった距離感を表す言葉として腑に落ちるものがあったようです。
後半の質疑応答のコーナーでは、いろいろな立場からの問いにたっぷりと答えてもらいました。どの質問にも気さくに、岩井さんならではのユーモアで応じ、ますます惹きつけられた参加者も少なくなかったのではないでしょうか。
観客によって書かれた文章を作家が読みフィードバックする。このような対話の試みを、イベントの形で行ったのは今回がはじめてでしたが、多くの参加者が集まり、劇評を書くという行為に一層の興味をもってもらう機会になったのであれば幸いです。(編集部)
タイトル 「岩井秀人が語る、岩井秀人と語る」(劇評を書くセミナー 東京芸術劇場コースII 番外企画2)
日時 2013年7月6日(土)13:30-16:00
会場 東京芸術劇場シンフォニースペース
受講料 一般 2000円(セミナー一括申込者は1000円)
語る人:岩井秀人(ハイバイ主宰、劇作家・演出家)
聞き手:水牛健太郎(ワンダーランド編集長)