12年前に第14回公演を最後に解散した劇団が久方ぶりに第15回公演を開く-と聞けば、ナンでやーとなって当然ですが、ケラリーノ・サンドロヴィッチは小うるさいことが嫌いらしい。公演ページの冒頭に「注意(観に来ないでいい人リスト)」を掲げ、最初に「12年振りに第15回公演をやることについて、異論がある者は観に来ないでよろしい」と言い切っています。以下「テーマとかなきゃやだとか、泣けなきゃやだとか、お話がわからないと具合が悪くなるそして具合が悪くなるのはやだとか、そんな文句を言う人はやだ。来ないでよろしい」などと続きます。ニヤリと笑って済ますのが流儀でしょうか。
「某日観劇録」サイトによると、「映画の脚本家が締切直前の脚本について、監督立会いの元、大急ぎで口述筆記している。田舎から東京の子供に会いにくる老夫婦の話と、息子夫婦と同居して病気を告知された定年間近の公務員。だが立会う監督が適当に口を挟むうちに、両方の脚本の登場人物があらぬ方向に動き出して。一応そういう構造ですけど、ナンセンスコメディーです。あまり筋を追っても意味はありません。小津安二郎と黒澤明の作品のパロディーらしい」とのことです。
いつもお世話になっている「しのぶの演劇レビュー」サイトにまたお世話になってしまうと、この芝居は「ナンセンス・ギャグだらけでお下劣な、好き勝手空間でした(良い意味です)」「私は・・・演劇界の内輪受けネタが一番面白かったなー。確実に笑わせてもらいました。言っちゃえば、本当に面白かったのはそこだけって言うか(苦笑)」だそうです。
東京・下北沢の本多劇場で8月6日から28日まで計23公演。前売り券5800円、当日券6300円。それでもちゃんと興行が成り立つとすれば、ケラの吸引力は大変なものだ。
[上演記録]
劇団健康「トーキョーあたり」
下北沢・本多劇場(8月6日-28日)8月5日プレビュー公演
作・演出・音楽
ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演(五十音順)
犬山イヌコ、大堀こういち、KERA、新村量子、手塚とおる、藤田秀世、峯村リエ、みのすけ、三宅弘城、横町慶子