鹿殺し『エデンの穴』

先月の14日から28日まで、二週間に渡ってのロングラン公演を敢行した劇団鹿殺し。 新宿はゴールデン街劇場というあまり名の知れぬ小さな劇場での彼らの公演。 「エデンの穴」という妄想掻き立てる表題によって、新宿は夜の街の熱気 … “鹿殺し『エデンの穴』” の続きを読む

先月の14日から28日まで、二週間に渡ってのロングラン公演を敢行した劇団鹿殺し
新宿はゴールデン街劇場というあまり名の知れぬ小さな劇場での彼らの公演。
エデンの穴」という妄想掻き立てる表題によって、新宿は夜の街の熱気と絡み合いながら、静かに、しかし確実な一歩を踏みながら、その長い旅は終着を向かえることができたようだ。


だったとさ日記のにぃさんは『総評としては、「良かった」の一言です。5段階評価で4.3くらいの。』という評価をされています。前回公演も見ているようで、まず初めに劇場の狭さに言及しています。

劇場内。
狭っ!
客席ざっと40、電車でぎちぎちに座るよりも狭い座席。
客席最前列と目と鼻の先にある別珍の赤カーテンで隠された舞台。
・・・・
でも、前回の『百千万』の時よりも座りやすかったんで、見てて苦痛ではなかったです。
始まってからも、舞台と客席が近いこともあり、役者さんがでかいでかい(笑)。
最前列だったらそれはそれはすごかったでしょう。

確かに前回公演の「百千万」では全員が地べたに座らされて体育座りでという感じでした。それはそれで雰囲気があったというか、田舎の村に映画がやってきた!風のちょっとしたお祭り気分が漂っていたように思われます。
それに比べると、今回はちゃんと席に座っての劇場スタイルではあったのでしょう。とはいえ大変に狭い、隣の人と密着!どころではなく、重なり合う!という表現が似合っているのではないだろうか。
それはやはり鹿殺しスタイル・・・王子だろうが新宿だろうが本質は変わらない、人は詰め込んだ方が楽しい!そんな気概を感じた。そして30人が限度の極小劇場はまさにゴールデン街クオリティー。

本公演の物語、それに伴う解釈のようなものは私のサイト「デジログからあなろぐ」あたりを参照していただくとして、今回は鹿殺しという劇団が今の小劇場界隈から見てどうして異彩なのか・・・そこに迫りたい。

その答えはbound for boundのサイトにしっかりと書かれていた。
この文章は本公演の前に書かれている・・・ので評論ではないけれど、劇団鹿殺しという劇団の舞台を想像するにはこの文章を読んでしまうのが一番手っ取り早いのではないか、そう思わせてくれる。

ずっと大阪で人気劇団として活動してきたが、去年、劇団ごと上京。
「2年後までに東京で売れなければ解散する。」
劇団員全員がその熱い思いを持ち、ある劇団員は大阪の大学を退学して、またある劇団員は会社を退職して、今は劇団員全員で小金井市の一軒家を借りて共同生活を送っている。
劇団として成功するためだけに東京へ来ているので、もちろんこちらでバイトなどをしている劇団員はひとりもいない。何で生活費を稼いでいるかというと、路上パフォーマンス。彼らは週6日、新宿・渋谷・新橋などで紅一点の主宰・髭の子チョビンを筆頭に、白字で「劇団鹿殺し」と書かれた黒い旗を掲げつつ、肉体を駆使したパフォーマンスで一般客のファンをとりこにしている。

劇団の今を切り抜きながら、そこから話は展開して小劇場という世界における彼らの特異さと彼らが挑むその世界の甘さ、それらを熱さと本気度をネタに切り開いていきます。
本気のクオリティー、まさに私が彼らに感じた思いも言葉にすればこの事なのだと思う。
鹿殺しという汚らしくてえげつない劇団に愛着をもってしまう多くの人は、その上手い下手ではないクオリティーに毒されてしまったのだろう、それは実のところ面白いつまらないという評価を超えることのできる甘美な毒で、観客として享受できる最高の蜜かもしれない。

そんな鹿殺しがテレビに登場するという・・・テレビ朝日「ストリートファイターズ」にて路上劇から鹿ハウスまで密着取材。
そして団員のインタビューも放送されるようだ。
劇団鹿殺し、今後の展開がより一層に楽しみになる良いニュースだ・・・ぜひ永久保存版で録画することをおすすめしたい。

<公演詳細>
劇団鹿殺し「エデンの穴」
場所:新宿ゴールデン街劇場

作:丸尾丸一郎
演出:髭の子チョビン
出演:山本聡司、JIRO・J・WOLF、渡辺プレラ、オレノグラフィティ、丸尾丸一郎、髭の子チョビン
舞台監督:
映像出演:政岡秦志、小林健一、辻修(以上、勇物電気〉
舞台監督:杣谷昌洋
舞台監督補佐:梶原顕
舞台美術:加藤まゆこ
美術スタッフ:菅原あや、満木夢奈、中村有紀、袴田長武
照明プラン:工藤雅弘(Fantasista?ish.)
照明操作:吉村愛子(Fantasita?ish.)
保坂真矢(Fantasita?ish.)
衣装/赤穂美咲
劇中映像制作:荒川浩輝(ミヤコハンター)
DVD化映像制作:浦島啓(puredust)
音響操作・編曲・デザイン全般:李
フライヤーイラスト:渡辺プレラ
舞台写真:溝添真紀
制作:山田裕美
票券:内藤玲奈
企画製俸:劇団鹿殺し
主宰:オフィス鹿

Special Thanks
新宿ゴールデン街劇場
ハイレグタワー
ALBATROSS G SEVA
吉村酒造株式会社
石川春香 志村裕子 新貝美奈子
樋口桃子 三浦舞 皆川さゆり
吉田裕美 森洋美
藤田淳平 野崎恵 小田切

「鹿殺し『エデンの穴』」への1件のフィードバック

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