松本修構成・演出「城」(カフカ原作)

 「演劇時評」サイトはときに辛口ですが、1996年から続いている貴重なサイトです。筆者は中村隆一郎さん。「ひとりの観客として感じたことを率直に書いています。Web上の劇評は若い人のものが圧倒的に多いのですが、僕は二回りほ … “松本修構成・演出「城」(カフカ原作)” の続きを読む

 「演劇時評」サイトはときに辛口ですが、1996年から続いている貴重なサイトです。筆者は中村隆一郎さん。「ひとりの観客として感じたことを率直に書いています。Web上の劇評は若い人のものが圧倒的に多いのですが、僕は二回りほど上の世代」だそうです。舞台への目配りや確かな文章からも、そんな落ち着きが感じられます。ただ続く文章で「だから青年達には珍品に見えるかもしれない。このギャップ(は)掲示板を読んで見たら楽しめると思います。意見があったら書き込んで下さい。毒にも薬にもならない役立たずの劇評に対抗してラディカルに劇を論じたいひとのために」とありました。なるほど。底力を感じるのはそのせいだったのですね。
 その中村さんが、東京・新国立劇場で開かれた松本修構成・演出のカフカ原作「城」公演(1月14日-30日)を取り上げました。

この芝居には映画やテレビでは到底味わえない舞台ならではのおもしろさがふんだんに盛り込まれている。松本修は実に摩訶不思議で猥雑でわくわくするエネルギッシュな劇世界をつくったものだ。これはカフカの「城」に違いはないが、少し大所から眺めると、60年代から始まる不条理劇や「新劇」解体、小劇場運動、あとに続く野田や鴻上たちを飲み込んで我が国の演劇文化を集大成したような様々の要素をカフカの世界で束ねた一種のパフォーミングアートになっている。…

 持続的に芝居を見てきた人のことばだけに、見逃したのが悔やまれます。

[上演記録](新国立劇場webサイトから)
スタッフ、キャスト、あらすじなど
舞台写真

投稿者: 北嶋孝

ワンダーランド代表

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