話題の「ポツドール」が新宿シアタートップスで、新作「愛の渦」を上演しています(4月20日-27日)。どんな物語かというと、「『心底スケベな男女数人が1室に集まって、朝まで好きなだけやる』という、羨ましい衝撃的なストーリー」(NO BUFFET,NO LIFE)「内容としては乱交パーティです。とは言えエロよりむしろ笑いの要素が相当の量」(キミテル日記)だそうです。
前作「ANIMAL」はラジカセの音楽が大音量で流れ、せりふがほとんど聞き取れないまま終わったとの感想がありました。今回もせりふがあまり聞き取れない個所があったようです。
「わぁ。(驚きに満ちた小さな悲鳴)」のqueequeg さんがこの点について、「『何言ってるか分からない』というのはつまり『何か言ってるのは分かる』わけで、つまりコミュニケーションの内容は伝わらなくてもコミュニケーションの形式は伝わる」「あと聞こえないとハビトゥスが前景化される、みたいなことをちょっと思った。というか聞こえない会話の内容を補うためにハビトゥスが動員されるってことだけど」という指摘はなかなか鋭いと思います。
ぼくらの心的構成に直に変容を迫るのではなく、ぼくらが持ち合わせる心的機序のトリガーを引き、そこからさまざまな感情の渦を湧出させる方法論と言えるでしょうか。これはやり方が極端に違うように見えながら、平田オリザが繰り返し述べている演劇論や演出論、今年岸田國士戯曲賞を受賞したチェルフィッチュ岡田利規の手法にも通底します。
取材やインタビューで、同調的な態度で相手の言い分を引き出すのか、挑発的な態度で隠された意図や感情を露出させるか、両極端のやり方があるのと似ているかもしれません(この二つだけに限りませんが)。「内部」を引き出したり露出させたりするやり方はさまざまだと思います。こういう手法に関して憶測はいくらでも可能ですが、ポツドールは未見なのでこの辺にとどめたいと思います。
【追記】(5.30)
ポツドールの舞台はよく「リアル」と言われているようです。具体的にはどういうことか、「Somethig So Right」サイトの今井克佳さんは次のように述べています。
なぜか最初は女同士で話し始め、そこに男が言葉をはさもうとして、別の女と会話が始まっていく」という個所に、おもわず頬が緩みました。鋭い観察ですね。
また最後にも「リアル」が用意されているようです。
夜と昼。秘密の時間が日常世界に切り替わる瞬間を演出する力が存分に発揮されているように思われます。
CLP(クリティック・ライン・プロジェクト)の皆川知子さんはこの舞台に関して次のように指摘します。
先の紹介でも触れましたが、ポツドール公演には、ぼくらを舞台に引きつけつつ、そのことがかえって僕らの内部を浮き立たせることになるという仕掛けが施されているのでしょうか。「欲望に対する演出家のシニカルな視線が、終始、舞台を貫いていた」という締めくくりが鋭く突き刺さってきます。
[上演記録]
ポツドールvol.13「愛の渦」
4月20日-27日、新宿THEATER/TOPS
脚本・演出 三浦大輔
出演 安藤玉恵 米村亮太朗 小林康浩 仁志園泰博 古澤裕介 鷲尾英彰 富田恭史(jorro) 青木宏幸 岩本えり 遠藤留奈 小倉ちひろ 佐山和泉
スタッフ
照明 伊藤孝( ART CORE design) /音響 中村嘉宏(atSound)/舞台監督 矢島健
舞台美術 田中敏恵/ 映像・宣伝美術 冨田中理(Selfimage Produkts)
小道具 大橋路代/衣装 金子千尋/演出助手 富田恭史/ 写真撮影 曳野若菜
ビデオ撮影 溝口真希子/制作 木下京子/制作補佐 井崎久美子/広報 石井裕太
企画・製作 ポツドール
拍手喝采 (リンク追加)
初日、観客席から拍手喝采。
2日、とあるポイントで爆笑。終演では拍手なし。
3日、観客席から拍手喝采。
この結果が何をあらわすかは分かりませんが、集計続けます。
23日の公演では、「ポツドールは確信犯的」と云うひとがいらっしゃいました。
以下は、『愛の渦』…
演劇ではなく、現実リアル。
友達級の知り合い(え)が出演しているので、
「ポツドール」という劇団の新作「愛の渦」を
見に行って来ました。
「心底スケベな男女数人が1室に集まって、
朝まで好きなだけやる」
という、羨ましい衝撃的なストーリー。
その1室では、人間のいろんな「情念」と
いった…
ポツドール「愛の渦」
書こう書こう。思って時間が過ぎた作品が幾つもあり いつもどこかしら強迫観念が。書