G2プロデュース「キャンディーズ」

 小劇場の人気俳優を集め、独自のプロデュース公演を開いてきたG2プロデュース。その最新公演「キャンディーズ」が東京、福岡、大阪で開かれました。「福岡演劇の今」サイトの薙野信喜さんは「仕事と恋―命を賭けるほどに大事なものが … “G2プロデュース「キャンディーズ」” の続きを読む

 小劇場の人気俳優を集め、独自のプロデュース公演を開いてきたG2プロデュース。その最新公演「キャンディーズ」が東京、福岡、大阪で開かれました。「福岡演劇の今」サイトの薙野信喜さんは「仕事と恋―命を賭けるほどに大事なものがふたつ、ひとりの中で同じ時にガチンコでぶつかる。恋の喜びが勝つが、そのことの代償は大きい。G2の純愛物語は、けっこう苦い」と述べています。
 G2プロデュースのWebサイトによると、物語は次のような設定で始まります。

 戦後復興のさなかにある昭和30年。向島石鹸は手作りの工場を次々と閉鎖、オートメーションによる大量生産へと切り替えていた。
  唯一残された第三工場に立花社長(山西惇)の娘・美雪(須藤理彩)が女工員のしじみ(新谷真弓)を訪ねてやってくる。遅刻してきた新入工員と勘違いされた美雪は、暗い影のある職人・渡部(長谷川朝晴)と大げんか。勢い余って工員として働くことになってしまう。
  ところがそこへ第三工場閉鎖と職人のリストラの通達。社長である父の横暴に怒る美雪は、あろうことに労働組合のリーダーとして反対運動を起こすことに。
  だが、工員は瞬間湯沸かし器の伝介(内田滋)、のんびり屋の浜田(陰山泰)、20年前の事件以来口がきけなくなってしまった横山(廣川三憲)と、役に立ちそうな者はいない。唯一、頼りになりそうな工場長・松永(竹下宏太郎)も意外な行動に。しかも、闘う相手は美雪の許婚の君島(木下政治)だ。
 そこへ助け船を出したのがラジオ東京のディレクター菅井(菅原永二)。労使交渉の場をラジオで生放送してくれることに。
 こんな騒動のなか、美雪は渡部の暗い影の奥に眠る熱い想いを感じていく。君島という許婚がありながら、渡部に心を奪われていくのを止めることができない美雪。
  だが、渡部は20年前の事件に心を閉ざしたままだ。
 20年前の昭和初期、社長の立花は軍の要請もあり工場のひとつを合成洗剤用に改造した。そんな流れに逆らうように第三工場の職人・柴田(久保酎吉)は「キャンディーみたいな石鹸」を作るべく、小豆島のオリーブに目をつけていた。太平洋戦争の陰が迫る中、チャンスはやってきた。宮内庁からフランス王朝御用達と同じ質の石鹸をという要請があったのだ。喜び勇んでオリーブを買いつけ、新人の渡部と徹夜で作業する柴田。
 だが、渡部が同僚の永井(草野徹)の恋人・美千子(須藤理彩・二役)に心を奪われてしまったことから、事態は意外な方向へ転がり落ちて……。
 果たして、20年前にいったいどんな事件があったのか? 二つの時間に存在する二つの三角関係のゆくえは? そして、キャンディーみたいな石鹸を作りたかった柴田の想いは成就するのか?

 「井上ひさしの昭和庶民伝と見まごうような舞台だ。テーマによって変幻自在のG2の幅広さを見る」「設定したふたつの時間を一瞬にして鮮やかに飛びながら、ふたつの時間を繋ぐものをじっくりと描いていく。柴田の作った石鹸は20年の時を越えて生き延び、渡部の胸からいちどは消えた恋も20年の時を経てよみがえる。気持ちのいい甘酸っぱさでハッピーエンド」だそうです。

 ただ結末には若干の留保も。「惜しむらくは、白馬の王子が現れて渡りに舟と救われるというやや甘いラスト。気持ちよく終わらせたい気持ちはわからないでもないけれど」と述べています。

 ネットをざっと見てみましたが、おもしろいと今公演を買う人は多いのですが、このラストにはかなりの異論が出ていました。「エンディングが妙にすんなりうまくまとまってしまったのがちょっと・・・だった」(「ジェット☆ジェットCAFE」)「最後はあれよあれよとハッピーエンドで、「ええ?それでいいのか?」ってちょっと思ったけど、たまには大団円ってのもいいかな」(「Pauseな日々」)「ラストがちょっと都合いいなーと思いはしましたが、楽しめたのでオッケーです」(箱雑記)あたりが代表的なコメントでした。

 G2プロデュースのWebサイトはあらすじだけでなく、稽古日誌や役者のコメントなど盛りだくさんの内容です。ためになりました。
 また冒頭に紹介した「福岡演劇の今」で、G2さんが芝居の現場体験を披露したトークの様子が紹介されています(「G2さんの話がおもしろい」)。興味深いエピソードを盛り込んで読ませます。参考まで。

[上演記録]
◎G2プロデュース「キャンディーズ」(Candy’s)

東京公演 下北沢・本多劇場(3月30日-4月10日)
福岡公演 天神・西鉄ホール(4月18日-20日)
大阪公演 シアター・ドラマシティ梅田芸術劇場(4月22日-24日)

作・演出:G2
出演:
須藤理彩、長谷川朝晴、竹下宏太郎、新谷真弓、木下政治、内田滋、豊原里美、草野徹、菅原永二、廣川三憲、山西惇、陰山泰、久保酎吉

投稿者: 北嶋孝

ワンダーランド代表

「G2プロデュース「キャンディーズ」」への4件のフィードバック

  1. はじめまして。TBありがとうございました。
    あのラストが?だった方は結構いらっしゃったみたいですね。そこまでの展開がかなりおもしろかったので、余計にそう感じてしまったのかもしれませんね。

  2. コメント、ありがとうございました。
    ネットに載ったさまざまな書き込みを読むと、ラストにひとこと述べている人がすごく多かったので、そこをピックアップしてみました。レビューの中でそこだけしか触れられなくてすみません。これからも「pauseな日々」をフォローさせてください。

  3. トラックバック、ありがとうございました!
    紹介されててびっくりしました(^^;
    あの結末はちょっと、うまくいきすぎですよね~。

  4. HIRAME@ジェット☆ジェットCAFEさま
    書き込みありがとうございます。
    突然のトラックバックでお騒がせしてしまったようで恐縮しています。ご容赦ください。
    ネット上のレビューを紹介したり、自分で書いり、関心のある書き手の参加を得たり、最近やっとレビューサイトの体裁が整ってきたと思っています。
    一行レビューのような公演の最新情報は載りませんが、きちんとした評価を採録する記録サイトにはなると思います。トップページの検索欄でいろいろお試しください。それなりにおもしろい文章に出会えるのではないかと思います。
    これからもよろしくお願いします。

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