岩松了「センター街」

 劇作家岩松了の作品3本連続公演の第2弾「センター街」が下北沢のザ・スズナリで開かれました(6月1日-8日)。最初の「アイスクリームマン」は5月11日-29日に終わり、「隣りの男」は6月15日-26日(本多劇場)の予定で … “岩松了「センター街」” の続きを読む

 劇作家岩松了の作品3本連続公演の第2弾「センター街」が下北沢のザ・スズナリで開かれました(6月1日-8日)。最初の「アイスクリームマン」は5月11日-29日に終わり、「隣りの男」は6月15日-26日(本多劇場)の予定です。


 「女子大生カンゲキノススメ」サイトは岩松作品の特長を「岩松作品は一見、誰にでも見破れそうな展開や人間関係を巧妙な台詞回しで覆い隠したり、露呈させたと思ったら煙に巻いたりして観客の意識を惹き付ける。また、登場人物の視線や口調の端々から読み取れる情報が他の舞台より格段に多いので、明らかにされる事柄が少ないにも関わらず、目が離せなくなってしまう」と述べています。

 「アイスクリームマン」と「隣りの男」の演出は岩松自身ですが、この「センター街」は、劇団「ペンギンプルペイルパイルズ」を主宰する倉持裕が担当しています。略歴に「1994年岩松了プロデュース公演『アイスクリームマン』に俳優として参加」とあるほどなので、親しい間柄と思えます。その演出はどうだったのでしょうか。
 関連写真を併載してセンスよくブログページを作る「Club Silencio」サイトの「no_hay_banda」さんは、「これがなかなかツボを押さえた演出で感心した。局面を丁寧に積み重ね、ぬるくて実は熱い世界を見せる手捌きが絶妙である」と褒めています。

 ぼくもこれを含めて2作ともすでにみました。3作目も今週の予定に組み込んでいます。感想はその後でまとめます。

追記(6.23)
 Critic Line Projectの竹内孝宏さんが「センター街」のレビューをまとめています。
 この作品を「デビュー作『お茶と説教』(1986年)と最新作『シブヤから遠く離れて』(2004年)のあいだにはさまって」いると指摘した上で、「そこで際立っているのは時系列的な連続性よりもむしろ断絶である」と述べています。初期作品に描かれたのがご近所という近隣関係が成り立つ場だったのに対し、「センター街」ではさまざまな階層が吸いこまれそのままダラダラと居ついてしまう「都市のブラックホール」「場ならざる場」に様変わりしたと言うのです。「これはあきらかに作家の時代認識であり、また80年代末から90年代半ばにかけてこの国が経験した地殻変動の演劇的要約であるといえる」と述べています。

 なるほどこう読解してみると、だらしなく間延びした印象を与えていたいくつかの断片が、ある必然性を持って織り込まれたのだと推測が可能です。

投稿者: 北嶋孝

ワンダーランド代表

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください