しずくまち♭「穴ヲ食ベル」

 芝居者と音楽家の表現ユニット「しずくまち♭」の公演「穴ヲ食ベル」が麻布die pratzeで開かれました(5月19日-23日)。2002年に改名していますが、前身の劇団から数えると、活動歴は14年にもなります。公式サイ … “しずくまち♭「穴ヲ食ベル」” の続きを読む

 芝居者と音楽家の表現ユニット「しずくまち♭」の公演「穴ヲ食ベル」が麻布die pratzeで開かれました(5月19日-23日)。2002年に改名していますが、前身の劇団から数えると、活動歴は14年にもなります。公式サイトには「半音下がった視点から / 物語を言葉として音として立ちのぼらせて行く / 想いが液化する瞬間……感情の露点を私達は描きます」という言葉が載っていました。


 「#10の観劇インプレッション」サイトの「#10(ナンバーテン)」さんによると、「すべての女性が死滅し、残った男達は不老となった世界。ダンディズムに生きるよすがを見出した男達は、失われた女の記憶を取り戻すために女と子供を“造った”。彼女たちの出現によって男達は少しずつ変わっていく」という物語です。

 さらに「女のいない世界の男達を女優が演じ、造られた女を男優が演じる少々奇妙な舞台。最初は滑稽だったが、不思議なものですぐに見慣れて、シリアスな場面でも違和感なく観られた」としたあと、「奇抜な設定の世界でややベタな展開、そして少々意外なエンディング。バランスのとれた秀作だったと思う」と述べています。

 いつも紹介している「デジログからあなろぐ」サイトの吉俊さんは男女の役割取り替えについて次のように書いています。

演出上の取り組みとして秀でているのは男の役を女性が、女の役を男性が演じるという部分です。一聞すると、ただそれが笑いのネタとして行われているのでは?という感想を抱くかも知れませんが、この配役が意外にも物語にうま~く溶け込んでいる。男らしいという部分を見失った男、女の作り物であって女性を学ぶ女・・・そんな倒錯している設定を露骨に描き出す方法として、この男女の入れ替えはかなり上手くいっていると感じた。

 吉俊さんは末尾で「偏らないバランス感覚で、いろいろ楽しめる作品」と述べています。
 「しずくまち♭」 は、ユニークな個性を持ったユニットのようです。次作をみてみたい気分になりました。

[上演記録]
 しずくまち♭公演 「穴ヲ食ベル」 
 麻布die pratze (5月19日-23日)

■作・演出:ナカヤマカズコ
■作曲・編曲:侘美秀俊
■出演:岡島仁美、山崎龍一、坂本華子、上地正子、由田豪、伊藤美紀、 ナカヤマカズコ、飯野さくら、下中裕子、諏訪友紀、朴井明子
■演奏:侘美秀俊(ピアノ)、 海月たかこ(ヴァイオリン)、生形憲市郎(コントラバス)、堀米綾(ハープ)
■Staff
 照明/大堀久美子
 舞台美術/伊藤雅子
 宣伝美術/大下詠子
 衣裳/竹内陽子
 制作/伊藤美紀

投稿者: 北嶋孝

ワンダーランド代表

「しずくまち♭「穴ヲ食ベル」」への1件のフィードバック

  1. しずくまち♭『穴ヲ食ベル』

    麻布die pratzeにしずくまち♭の「穴ヲ食ベル」を観に行って来ました。 半音下がった視点から感情の露点を描き出す・・・芝居者と音楽家の表現ユニットとのこと・・・。 実際の舞台ではリアルタイム音響という形で、舞台下手に陣取っているピアノやらハープやらの奏者の方…

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