大橋可也&ダンサーズ「サクリファイス」

 「ハードコアダンス」を掲げる大橋可也&ダンサーズの公演をみてきました(神楽坂die pratze、8月2日)。大橋さんの名前は「かくや」と読むそうです。昨年の「あなたがここにいてほしい」公演をみた舞踏評論家の … “大橋可也&ダンサーズ「サクリファイス」” の続きを読む

 「ハードコアダンス」を掲げる大橋可也&ダンサーズの公演をみてきました(神楽坂die pratze、8月2日)。大橋さんの名前は「かくや」と読むそうです。昨年の「あなたがここにいてほしい」公演をみた舞踏評論家の石井達朗さんの推薦で、今年の「die pratze dance festival ダンスがみたい!7」に出場することになりました。「あなたがここにいてほしい」というと、思い浮かべるのはPink Floyd のアルバム「WISH YOU WERE HERE」ですが、この公演は未見なのでコンセプトなどで関連があったかどうか分かりません。石井さんの推薦文には「男(大橋)と女(ミウミウ)の間にある永遠の溝としての身体性が、スカンクのノイズ音により幾重にも増幅された。ソリッドな身体が加速度的に追い込んでいったものは、自虐とも加虐ともつかないエロスである」とあります。期待と好奇心で足を運びました。


 開演前、客席から普段着の男女数人か舞台奥のパイプいすに腰掛け、客席に向かって横一線に並んでいます。主宰の大橋さんが「これから始めます」と言ってステージを去ると、そのうちの女性2人が踊り始めます。1人は狐(犬?)面を着け、指を鳴らしながら舞台の前の方を横歩きで往復したり、四周を素早く動いたり。ベビードールを着た女性はときに調子っぱずれで歌います。この歌は「白鳥のめがね」サイトによると「cocco の『強く儚い者たち』だそうです。
 次はバットを振り回す女性が登場します。床に大の字に寝そべったりしていると、突然教育改革を熱っぽく論じるテレビ番組の音声だけが流れてきます。バット女はその音声にほとんど関わりなく、バットを振り、動き回ります。
 3番目は…記憶がぼやけたので、「ブロググビグビ」サイトの助けを借りると、「ラムネ菓子を並べてつくったテリトリーの中で足を拘束されているキャミソールの少女と、客席や舞台後方をめがけて暴れる男の子」。最後に柄物のサマーシャツにハーフパンツ、頭に野球帽(だったでしょうか?)を乗っけたオッさん風の男性が舞台中央に登場しますが、少しの間ギクシャクと手足を動かして、そそくさと引き揚げてしまします。

 「白鳥のめがね」サイトのyanoz さんは最初のシーンに関して「二人出ていてもデュオというわけでもなく、平行して進行するその隔たっている印象が心に残る」と述べています。「ブロググビグビ」サイトの伊藤亜紗さんは「大橋可也の舞台は、二つの人物中心がディスコミュニケーションなまま並存している」「舞台上におかれた二つの要素は、並置されてディスコミュニケーションの関係にあるけれど、お互いがお互いにとっての「ノイズ」になりながら片方のみに集中することを妨げ、観客を煩わす」「煩わし合いは却って二人をそれぞれの一点へむけて閉じさせる」と指摘しています。

 今回の公演は前回の「ソリッドな身体が加速度的に追い込んでいった」とか「自虐とも加虐ともつかないエロス」というイメージとはかなり離れ、「かみ合わないけどバラバラとも言えない」「バラバラだけれども、よくどこかで見かける」という、ぼんやりした既視感や希薄な現実感が澱のように残りました。
 公演は1日だけ。主催サイドの都合だったようですが、会場は満杯の熱気でした。

[上演記録]
大橋可也&ダンサーズ「サクリファイス」
麻布die pratze (8月2日)
【出演】
ミウミウ、江夏令奈、関かおり、垣内友香里、皆木正純、ロマンス小林
【振付】
大橋可也
【音楽】
スカンク(MEXI)
【照明】
遠藤清敏
【舞台監督】
十亀脩之介


投稿者: 北嶋孝

ワンダーランド代表

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