タイニイアリスフェスティバル2005の幕開けは、昨年に続いてゴキブリコンビナート公演でした(8月11-14日)。キツイ・キタナイ・キケンの「3Kミュージカル」を自称する劇団は、最近会場を確保しにくくなったとのうわさが流れています。アリス劇場関係者が度量の広さを示した今公演「君のオリモノはレモンの匂い」はいかに-。
「デジログからあなろぐ」サイトの吉俊さんは「レインコートとタオルを片手に入場を待つ」「劇場の階段を降り始めるとともに漂い始める異臭、これがゴキコンか!ドキドキ」などと助走しながら、いよいよ本番の報告と思ったら、「そして、始まる・・。」と書いたまま、中断しています。(12日22時過ぎ)そのうち書き継がれるのでしょうか。
その代わりというわけではないのですが、「おはしょり稽古」サイトのあめぇばさんが、舞台の模様をしっかり伝えてくれました。おおよそ、こんな感じのようです。
ハネムーンに国立公園に来た新婚夫婦は、原始人のような野蛮な男達に襲われて身ぐるみ剥がれる。
おかみに助けられて宿に逃げ帰り、ショックから立ち直った花嫁は気を取り直して初夜を始めようとする。
しかし花婿は筋金入りのロリコンだった。
観客席の頭上の丸太に猿のようによじ登って、役者は別の舞台へ移動する。宿に逃げ帰る時点で花嫁はウェディングドレスを剥がれてほぼ全裸。後半では下半分が無いスクール水着で逆さ吊りにされ、最後は男に陰部の匂いを嗅がれながら花婿の生首を抱いて歌う。なかなか切ない役回りである。
半分猿のような男たちは、集団就職で雇われた「木こり」だった。…
泥はねも何のその、放尿もいたぶりも「演出家の割り切った姿勢は大変清々しく感じられ」「レモンの芳香剤の匂いが充満する中で二時間たっぷり野次馬をやって、半ば酸欠状態で劇場を出た」そうです。
ハラハラドキドキ場外編の様子は、彼女のもうひとつのブログサイト「依怙地にあめぇば」に詳しく載っています。
タイニイアリスWebサイトにゴキブリコンビナートの作・演出のDr.エクアドルのインタビューが掲載されています。興味のある方はどうぞ。
追記(8.14)
「ゴキブリコンビナート」の公演レビューが「そして、始まる・・。」で中断していた「デジログからあなろぐ」さいで、すぐに後半が書き継ぎがれました。同サイトの吉俊さんは、ゴキコンが「ミュージカルという形式を借りて」「泥水と組み合わせると、そこには終始水がバシャバシャ跳ねることを必然とする舞台が生まれる」と述べ、舞台設営など「道具使いの上手さ」をぬかりなく指摘しています。
その上で、ゴキコンの3KミュージカルにさらにもうひとつのK、「心地よさ」を付け加えたいと宣言します。そうこなくちゃ。
汚い水が体に降り掛かる、役者がどんどん汚れていく、その役者が自分達の上を駆け回る、そういう汚い部分とか・・・役者が服を剥ぎ取られたり、丸太で頭を打たれたり、逆さ釣りにされたり・・・肉体を傷つけられている様を観る部分。SMという構図もあるけど、どちらかというと自然から全く切り離されて清潔に安全に暮らしている都会で、普段刺激されない人間という動物の諸感覚を刺激してくれているのではないかと思う・・・それが心の高ぶりであったり、終幕後の心地よさに繋がる。
それってまさにスポーツと同じ構図でしょう?・・・ゴキコンはスポーツである!っていうのはこれまた言い過ぎかもしれないけど、大きく間違っている訳じゃない。
ゴキコン=スポーツ説の誕生ですが、ぼくには見せ物、そのなかでもプロレスとある面でゴキコンが似通っているのではないかと思えます。米国のプロレスはショーアップされ、あっけらかんとした勧善懲悪物語で広い会場を沸かせます。しかも2m100キロ級の肉体が明るいリング上で激突します。対照的にゴキコンは、技はうまわけではなく、痩せこけた身体と不揃いな歌声ではありますが「心意気と情熱!」があり、独自の物語を内蔵しているはずです。そのあたりの比較検討ができるとおもしろいのでは…と思いつきを並べましたが、おしゃべりはこのへんにしましょう。
[上演記録]
ゴキブリコンビナート第19回「君のオリモノはレモンの匂い」
出演:ボボジョ貴族、オメス吉祥寺、OJC、セロトニン瘍子、Dr.エクアドル、スピロ平太、スガ死顔
ゴキブリコンビナート『君のオリモノはレモンの匂い』
新宿タイニイアリスにてゴキブリコンビナートのミュージカル?「君のオリモノはレモンの匂い」を観に行ってきました。 本作品は、タイニイアリスの「アリスフェスティバル2005」のスタートを飾る作品でありました・・・全部で15個の作品が年明けまで上演されます・…