旧知の飯塚数人さんから、子供向けミュージカル「きかんしゃトーマスとなかまたち」について書いたとのメールを受け取りました。関連サイトもあちこち見て回りましたので、一緒に紹介します。
「きかんしゃトーマス」シリーズと聞いて「懐かしい」という方もいるでしょう。「子供と一緒に絵本を読んでいる」「テレビで見ている」という子育て中のパパやママがいるかもしれません。子供向け番組や絵本の定番の一つなのでしょう。
イギリスで2002年に上演された「THOMAS the TANK ENGINE ~きかんしゃトーマスとなかまたち~」は、27万人を動員したヒット・ミュージカル。海外初公演としてこの夏、東京・お台場で上演中です。本物さながらの「トーマス」、「パーシー」などのおなじみの機関車がステージ上を駆け回り、TVシリーズで親しまれている俳優たちの日本語吹き替え版で歌と物語が進行するそうです。
驚くのがその上演期間と回数です。7月16日から始まり8月31日まで1日2回、計47日間94公演です。大人4000円、子供3000円ですから、家族で平均1万2000円の入場料と計算し、1公演の入場者数をざっと200人とすると、入場料収入だけで軽く2億円をオーバーします。入場者が300人、400人平均だと…。追加公演もあるので、数字はドンドン膨らんでいきます。
とまあ、興行的な関心に傾いてしまいましたが、飯塚さんのレビュー(「闘いうどんを啜れ」)であらすじは少ししか書かれていません。鮮明な写真をたくさん載せている「iBox」サイトのlovecellさんの助けを借りると、「このミュージカルでは、テレビ版と同様に友達思いのトーマスの行動に焦点が当てられており、そこで起こるいろいろな出来事がストーリーの中心だ。任された支線が取り上げられそうになっても、友達を大事にするトーマスの思いやりに胸が打たれた。観終わった後、あたたかい気持ちになれるミュージカル」だそうです。
飯塚さんは相当の機関車マニアだったらしい。「舞台はいちめん汽車が走りまわるための溝がはりめぐらされていて、よくみると、そこにはちゃんと枕木やレールや砂利が描きこんである。奥は車庫になっていて、トーマスたちはそのなかですこしだけ顔をのぞかせて、出番を待っている。場内は、あこがれのトーマスをまえに、感極まって泣き叫び、走りまわる子供(ほとんど幼児)が群れている」と描写、「俺も、鉄道マニアだった少年時代を思いだし、いまにも失禁しそう」という個所を読んで思わず頬が緩んでしまいました。
「子供にとって、乗り物とは、人を異空間へ導くためものというより、それじたいが異空間というべき、祝祭的、演劇的存在だった」との指摘にうなずく人は多いはずです。「しかし人はやがてみな成長し、電車での通学通勤はあたりまえとなり、乗り物の持つ神秘性は失われて、日日ただ満員の苦痛を味わうのみの道具となる」。なるほど、なるほど。その後の描写にも機関車への愛情がうかがえます。
さらにディケンズが抱いていた鉄道に対する「特別な恐怖心」と近代の「疎外」にも触れ、最後に「いくつかの挿話が重なって、おはなしは進行し、最後には象の親子も登場し、俺も子供も大喜び。まさに乗り物への夢を、そして演劇への夢を、とりもどさせてくれる時間だった」と締めくくります。子供の喜びと同時に、飯塚さんご自身にもたまらないひとときだったようです。
北嶋様:
記事中、拙ブログへの言及ありがとうございます。また、コメントとTBもいただきありがとうございます。
実は、購読しているメルマガ【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1806の記事中でこのブログ「wonderland」の存在を知った次第です。
北嶋様のことは以前よりご高名を存じ上げておりましたので、直にコメントを頂けるとはブログならではの出来事で驚いております。今後もよろしくお願い致します。
ミュージカル「きかんしゃトーマスとなかまたち」
【A】お台場冒険王キッズランド内にある特設会場「トーマスシアター」。黒い外観のシアターで一際目立つ【B】当日券売り場。トーマスの車両風デザイン【C】ミュージカル『きかんしゃトーマスとなかまたち』のロゴ【D】会場隣の「トーマス台場ステーション」にあるダイア…
子供向けミュージカルやアイドルのコンサートなどには、力のあるスタッフが参加している場合が少なくありません。今回はたまたまきっかけが与えられたので取り上げましたが、いつもはなかなかそこまで目が行き届きません。
それにしても、写真がきれいですね。lovecelloさんは専門家なのでしょうか。
「日刊デジクリ」をご覧になっていたのですか。参りました。来週も書かなければならないので気が重いのです。適当に読み流してください。