ヒンドゥー五千回「メキシコの犬」

 ヒンドゥー五千回第14回公演「メキシコの犬」が東京・下北沢のOFFOFFシアターで開かれました(8月18日-28日)。いつも遅れ遅れの紹介ですが、どんな芝居かと言われてもストーリーを明確に示すことがこの劇団のねらいでは … “ヒンドゥー五千回「メキシコの犬」” の続きを読む

 ヒンドゥー五千回第14回公演「メキシコの犬」が東京・下北沢のOFFOFFシアターで開かれました(8月18日-28日)。いつも遅れ遅れの紹介ですが、どんな芝居かと言われてもストーリーを明確に示すことがこの劇団のねらいではないようなので、まともに筋書きは追いにくいのではないでしょうか。


ほぼ観劇日記」サイトによると、「ふらっと現れた旅人により、その町に住む人々の中にある、特異性が徐々に明らかになってき物語は進行しますが、ただ湧き上る疑問の全てが解決するのではなく、疑問を疑問のまま残しつつ物語もその疑問の渦へと巻込まれていきます。単純明快ではなくその不明確な感覚を楽しむべき芝居」になっているそうです。

 芝居のコメントで鋭い観点を見せてくれる「耳を噛む」サイトはまた微妙に違った視角から、「物語は、『犬』と『旅人』に絞って描かれていて潔いし、全体をとおしてきっちり作られた作品だった。一箇所分かり易くし過ぎたのではないかと思う部分もあり、そこまでサービスしなくてもよかったのではないかと感じた」と述べています。見方は異なりますね。

 また違った視線を紹介しましょう。critic line project の皆川知子さんは「観ているうちになんだか息苦しくなってきたのは、おそらく、彼らの行動の理由がなにひとつ説明されないという居心地の悪さからかもしれない。なぜその男は村に来たのか。一見夫婦に見える家の男と女は本当はどういう関係なのか。男たちが人殺しをした理由は何なのか・・・。客席も含めて閉塞的な空間のなかにある私たちには、理由がわからないという不安から逃れるすべはない。対話のなかから生れる疑念や妄想の網に、自分自身が捕らえられてしまった感覚だ」と書いています。

 さまざまな鏡像を発信する舞台。みる人の数だけ重なるイメージという重層的な厚みを持つことは、その舞台にとって栄誉ではないかと思います。

[上演記録]
ヒンドゥー五千回「メキシコの犬」
 日時・場所 下北沢OFFOFFシアター(8月18日-28日)

■構成/演出 扇田拓也
 下北沢OFFOFFシアター(8月18日-28日)
■出演
 谷村聡一 久我真希人 向後信成 藤原大輔 榎本純子 佐伯花恵 伊澤勉(第三エロチカ) 鈴木燦 成川知也
■スタッフ
演出助手 藤原 大輔
舞台監督 岡嶋 健一
美術 袴田 長武 (ハカマ団)
照明 宮崎 正輝
音響 井川 佳代
宣伝写真 降幡 岳
宣伝美術 米山 奈津子
制作 根 雅治 山崎 智子

投稿者: 北嶋孝

ワンダーランド代表

「ヒンドゥー五千回「メキシコの犬」」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。トラックバックありがとうございました。
    このような場所で引用していただき大変恐縮しております。
    他の方の劇評も読ませていただき、
    改めてこの舞台について考えさせられました。

  2. わざわざコメントをいただき、ありがとうございます。「耳を噛む」はときどき拝見しています。鋭い指摘にハッとしたりギョッとしたり。みなさんの公演もみてみたいと思います。これからもよろしくお願いします。

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