今年は近代演劇を切り開いたと言われるノルウェーの劇作家イプセンの没後100周年に当たり、11月には関連のシンポジウムや作品上演など特色ある催しが各地で予定されています。
イプセンの作品が日本へ与えた影響は大きく、日本の新劇運動は明治末期、市川 左團次(2代目)が小山内薫らと始めたイプセン劇の上演(自由劇場)や、坪内逍遙、島村抱月の文芸協会による『人形の家』(松井須磨子主演)が先駆けといわれるほどです。
特に坪内、島村らイプセン劇上演に縁のあった早稲田大学で11月9日-11日の3日間、イプセン没後100年記念フェスティバル「我々にとってのイプセン」が開かれます(小野記念講堂)。
フェスティバルでは講演「日本におけるイプセンの受容-黎明期を中心に」(河竹登志夫早大名誉教授)、ノルウェー人女優ユーニ・ダールによるひとり芝居「Ibsen Women」、無声映画「Terje Vigen(波高き日)」、ノルウェー映画「人民の敵」上映のほか、シンポジウム「我々にとってのイプセン」が開かれます。パネリストはエロール・デュルバック(カナダ・ブリティッシュコロンビア大学教授)、安西徹雄(上智大学名誉教授)、坂手洋二(燐光群主宰)、佐藤直子(演劇集団円)、司会は毛利三彌(成城大学教授)の各氏。
燐光群は今年5月イプセンの「民衆の敵」を再構成上演、演劇集団円も安西訳・演出でイプセンの「ロスメルスホルム」 を取り上げています。
いずれも入場無料、予約不要です。日程など詳細は、早稲田大学演劇博物館21世紀COE・演劇研究センターwebサイトのページをご覧ください。
http://www.waseda.jp/prj-21coe-enpaku/jp/activity/2006/index.html#ibsen
また11月6日-12月17日にイプセン没後100年記念展「日本におけるイプセン受容の歴史」(早稲田大学演劇博物館)が、11月7日‐14日に展示「わたしたちの時代のイプセン Ibsen in our time ? to be a poet is to see」(早稲田大学小野梓記念館1Fワセダギャラリー)が開かれます。
ノルウェーで読み継がれている長編詩「タリエ・ヴィーゲン Terje Vigen」をもとにした屋外マルチメディアパフォーマンス「タリエ 横浜」が11月16日-26日、横浜新港ふ頭で開かれます。アーティスティック・ディレクターはノルウェーのトマス・ホーグ氏。マルチスクリーンを扇状に5面設置。ノルウェーから来日するミュージシャン、ダンサーらも登場します。詳細は「タリエ 横浜」公式webサイトをご覧ください。
http://www.terje.jp/
東京を拠点に活動するシアターカンパニー「shelf」が11月30日-12月3日、名古屋・七ツ寺共同スタジオと提携してイプセンの代表作の一つ「幽霊」を同スタジオで上演します。「構成・イプセン-Composition/Ibsen」(「幽霊」より)構成・演出 :矢野靖人。詳細は、shelf のWebサイトをご覧ください。
http://theatre-shelf.org/
【関連情報】
・国内のイプセン関連行事や上演記録などは、ノルウェー大使館のページにまとまっています。
http://www.norway.or.jp/ibsen/(ノルウェー大使館)
・国際的なイプセン関連情報は、http://www.ibsen.net/
・イプセンの作品や生涯は、次のページを参照。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%97%E3%82%BB%E3%83%B3(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)