新人戯曲賞に平塚直隆さんと 鹿目由紀さん

劇作家協会新人戯曲賞チラシ 日本劇作家協会主催の第16回 劇作家協会新人戯曲賞の公開審査会が12月12日(日)、東京都杉並区の座・高円寺で開かれ、平塚直隆さんの「トラックメロウ 」と 鹿目由紀(かのめ ゆき)さんの「ここまでがユートピア」の2作品が受賞した。賞金は各25万円。1996年から続いている同賞で、同時受賞は初めて。

 平塚さんの「トラックメロウ 」は、バスツアーの一行が事故で立ち往生。女性運転のトラックが通りかかってから物語が急展開していく話。添乗員、運転手、客らの軽妙な遣り取りが不条理な笑いを起こすなどと評価された。 鹿目さんの「ここまでがユートピア」は、国のユートピア建国政策の下、ある島に送り込まれた若者たちが半径75センチの「王国」を作って暮らす話。鋭い着想と、身体性とスピード感を兼ね備えたセリフを評価する見解が多かった。

 公開審査は7人の審査員が最終候補に残った6作品を取り上げて意見を述べ議論したあと、1人2作品を選んで第1次投票した。その結果、平塚さんの「トラックメロウ 」と 鹿目さんの「ここまでがユートピア」がともに4票を獲得。3票の秋之桜子さんの「猿」を加えた上位3作がその後審査され、1人1作品の第2次投票で「トラックメロウ 」4票、「ここまでがユートピア」3票となった。しかし最後に投票することになった渡辺えりさんが決めかねてしばらく躊躇していたことや白熱した議論経過をみて、司会の小松幹生さんが「両作品を受賞にしたらどうか」と諮って審査員が了承、同時受賞が決まった。

平塚直隆さん鹿目由紀さん
【写真は平塚直隆さん(左)と鹿目由紀さん。禁無断転載】

 受賞した2人はいずれも名古屋市を拠点として活動する劇団に所属。平塚直隆さんは「オイスターズ」の作・演出を手がけ、2009年には「はだか道」で第4回仙台劇のまち戯曲賞大賞を受賞している。鹿目由紀さんは劇団あおきりみかん主宰。短編戯曲コンクール「劇王」で2008年から3年連続優勝。日本演出家協会の若手演出家コンクールで2009年に優秀賞を受賞している。

 今回の応募総数は170作。第一次選考と第二次選考を経て、6作品が最終候補に選出された。
 審査員はケラリーノ・サンドロヴィッチ、斎藤憐、坂手洋二、佃典彦、マキノノゾミ、横内謙介、渡辺えりの7人。

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