岸田國士戯曲賞は松井周「自慢の息子」

 第55回岸田國士戯曲賞(白水社主催)の選考会が2月28日、東京・神田錦町の學士會館で開かれ、松井周『自慢の息子』が受賞作と決まりました。正賞は時計、副賞は20万円。授賞式は4月18日午後6時から東京神楽坂・日本出版クラブ会館で開かれます。

 『自慢の息子』は、独身の中年息子が作った国(実は居住アパート)に母親がやって来て、変態的人物やいかがわしい関係が次々に交錯していく話。選考委員の一人である岩松了さんは、審査後に発表したコメントで、「人生のあっけなさを描いて出色である。母と息子の関係を中心に描かれているが、世界を見るその独自な視線は、性的な香りをかもし出す。時に乱暴で無造作な場面転換などは、演劇そのものに作者が思いを馳せていることの証しだ」と述べています。

 松井 周(しゅう)さんは1972年、東京都生まれ。明治学院大学社会学部卒。1996年俳優として劇団青年団に入団。その後、劇作と演出を手がけ、「サンプル」を主宰。 『通過』 『ワールドプレミア』が日本劇作家協会新人戯曲賞入賞、 『家族の肖像』『あの人の世界』が岸田賞の最終候補にノミネートされるなど作品は高く評価されていました。

 選考委員は岩松了、鴻上尚史、坂手洋二、永井愛、野田秀樹、宮沢章夫の各氏(五十音順)。

 受賞作『自慢の息子』は、ワンダーランドの初日レビュー第1回で取り上げました。
 また松井さんがワンダーランドに執筆した劇評は次の通りです。
・ワンダーランド寄稿一覧:http://www.wonderlands.jp/archives/category/ma/matsui-shu/

第55回岸田國士戯曲賞最終候補作品一覧(作者五十音順、敬称略)
 ・赤堀雅秋『砂町の王』 (上演台本)
 ・江本純子『小さな恋のエロジー』 (上演台本)
 ・竹内佑『空洞メディアクリエイター』 (上演台本)
 ・田村孝裕『絶滅のトリ』 (上演台本)
 ・中津留章仁『convention hazard 奇行遊戯』 (上演台本)
 ・ノゾエ征爾『春々』 (上演台本)
 ・前川知大『プランクトンの踊り場』 (上演台本)
 ・松井周『自慢の息子』 (上演台本)
 ・丸尾丸一郎『スーパースター』 (上演台本)

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