第1回高校生劇評グランプリ表彰式

◎野田秀樹さんらが祝いの言葉 レベルの高い劇評が揃う

 第1回高校生劇評グランプリ(主催:公益社団法人国際演劇協会日本センター)の表彰式が3月31日午後、東京芸術劇場シンフォニースペース(5階)で開かれた。同協会の永井多恵子会長から最優秀賞の石本秀一さん(早稲田実業学校高等部 )ら入賞した11人に賞状が授与された。
 選考委員長を務めた扇田昭彦さん(演劇評論家)は講評の中で「初めての試みだったが、レベルの高い劇評が揃った。特にNODA・MAP公演『MIWA』を取り上げて最優秀賞を受賞した石本さんの劇評は、演出や俳優の演技の魅力に触れ、芝居を見ていない人が読んでもどういう舞台か分かる。しかも自分の見方、意見がしっかり書き込まれていてすばらしい。高く評価され、選考委員の票が集まった」と述べた。

 その後、「MIWA」の作・演出・出演で、東京芸術劇場芸術監督の野田秀樹さんが登場。この公演の舞台美術を担当した堀尾幸男さんと最優秀賞の石本さんも壇上に登った。司会の扇田さんの質問に答えて、石本さんは「(『MIWA』の)舞台を2回見て台本も読み、冬休みに2週間かけて少しずつ書いた」と話していた。

 野田さんは石本さんの「MIWA」評について「しっかりした文章ですね。自分たちの高校時代とは違ってまじめで的確。批評はどれだけ(舞台を)深読みするかという世界なので、自分が意識していないこと、意図しないことに気づかせてくれる」と話していた。

【写真は(右から)野田秀樹さん、堀尾幸男さん、最優秀賞の石本秀一さん。左端は司会の扇田昭彦さん(演劇評論家) 撮影=ワンダーランド 禁無断転載】
【(右から)野田秀樹さん、堀尾幸男さん、最優秀賞の石本秀一さん(早稲田実業学校高等部)。
左端は司会の扇田昭彦さん(演劇評論家) 撮影=ワンダーランド 禁無断転載】

 堀尾さんは「(広島の)高校時代に演劇活動をしたけれど、役者に向かないと自覚。好きな美術の道で演劇活動に入ろうと美術大学に入った」と語り、劇評について「舞台は(公演が)終わると消えてしまう。だから公演中でも劇評が出て、褒めたりけなしたりして、世の中がワイワイ騒ぐことが大事なのではないか」と述べていた。

 当日は入賞者11人のうち10人が参加。入賞者から質問が次々に飛び出した。「野田さんにあこがれて、(学校で)作・演出、俳優として活動してきた」と自己紹介した生徒は「自分が俳優として登場する場面はどのように演出するのか」。ほかに「まじめな世代と言われたけれど、野田さんが高校時代はどうだったのか」「野田さんの舞台はストーリーが分かりやすくないけれど引き込まれてしまう。演劇のストーリー性をどう考えているか」など時間いっぱい手が挙がった。

 表彰式には入賞者の家族や学校の教員ら約30人が集まった。式が終わったあとに開かれた懇談会では野田さん、堀尾さん、それに扇田さんはじめ当日出席した選考委員を囲んで談論の輪が出来た。初対面同士の生徒が連絡先を教え合い、2人3人と集まって話し込む姿も見られた。

【写真は表彰状を掲げる入賞者ら。 撮影=ワンダーランド 禁無断転載】
【写真は表彰状を掲げる入賞者ら。 撮影=ワンダーランド 禁無断転載】

 高校生劇評グランプリは「高校生が劇場で公演を楽しむだけでなく、劇評を通して公演を深く味わい、想像力や思考力を伸ばすことを目指してスタート」(同開催要領)した。2013年4月以降首都圏の劇場で上演された演劇、ダンス(舞踊)、ミュージカル公演(能・狂言、文楽、歌舞伎などの伝統芸能公演を含む)から1公演を取り上げ、1200字~2000字にまとめた劇評を2013年11月から募集。締め切りの2014年1月15日(水)までに77編が集まった。1次選考で18編が選ばれ、3月2日の最終選考会で入賞11編が決まった。

 入賞者は次の通り(敬称略。学年は2014年3月31日現在)。
【最優秀賞】
 石本秀一 (早稲田実業学校高等部 1年)「MIWA―愛の伝道師その人生とは」( NODA・MAP、 東京芸術劇場)
【優秀賞】(50音順)
・伊澤拓人(麻布高校3年)「『MIWA』概観」( NODA・MAP、 東京芸術劇場)
・グンナレ 更(東京学芸大学附属高等学校2年)「魔女となった観客」(マクベス Macbeth、Bunkamuraシアターコクーン)
・高崎麻里亜(千葉県立船橋高校2年)「体感-MIWAの世界」( NODA・MAP、 東京芸術劇場)
・高野暉子(埼玉県立芸術総合高等学校3年)「教育の影響力」(「フランケンシュタイン」、東京グローブ座)
・近澤璃希(渋谷教育学園幕張高等学校1年)「深く掘り下げた新古典『マクベス』」(「マクベス Macbeth」、Bunkamuraシアターコクーン)
・奈良弥春(東京都立若葉総合高校2年)「衝撃が半端じゃない」(「バカロックオペラバカ 『高校中パニック! 小激突!!』」、PARCO劇場)
・蓮見厚輝(筑波大学附属駒場高校1年)「悲劇への供物」(河村企画「珈琲法要」、アトリエ春風舎)
・平川千晶(横浜雙葉高等学校2年)「見るべきもの」(こまつ座&ホリプロ「木の上の軍隊」、天王洲 銀河劇場)
・藤井颯太郎(兵庫県立宝塚北高等学校3年)「原作ピグマリオンと名作マイフェアレディ」(「ピグマリオン」、新国立劇場)
・山中 友恵(聖心女子学院高等科2年)「愛され続けている舞台」(東宝「レ・ミゼラブル」、帝国劇場)

【高校生劇評グランプリ公式サイト】>>


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