コミュニケーションズ-現代劇作家たちによるコント集

 新国立劇場の「笑い」シリーズ第2弾は「現代社会におけるコミュニケーションについてさまざまな切り口から多様な視点を集めた、大喜劇集」(同劇場Webサイト)。日本劇作家協会と初めての共同企画で、別役実、いとうせいこう、ケラ … “コミュニケーションズ-現代劇作家たちによるコント集” の続きを読む

 新国立劇場の「笑い」シリーズ第2弾は「現代社会におけるコミュニケーションについてさまざまな切り口から多様な視点を集めた、大喜劇集」(同劇場Webサイト)。日本劇作家協会と初めての共同企画で、別役実、いとうせいこう、ケラリーノ・サンドロヴィッチら実力派のほか、日本劇作家協会戯曲科の現役受講生たちの作品も取り上げ、演出の渡辺えり子が「昔のアチャコからはじまるようなベタな関西の笑いからシャープで都会的な笑い、落語的な笑い、漫才的な笑いなど、いろいろな笑いをごった煮にして、小劇場自体がヤミ鍋のように」仕立てようとしたそうです。


 ネット上での評判はあまり芳しくなかったようですが、「演劇時評」サイトの中村隆一郎さんが「11人の劇作家の作品を21のエピソード「場」にして構成した。その中には渡辺えり子が書いた「コミュニケーションズ」というコントを開幕からはじめて終わりまで都合六つ挿入し(略)がひとつのトーン・マナーを持っているのでそれがうまく句読点の役割を果たして飽きさせない工夫が施してある」と構成力を評価。さらに個別の作品を取り上げ、話のおもしろみや役者の演技などを丁寧に紹介、分析しています。
 コントは時代をつかむセンス、構成の切れ味など書き手、作り手の才能が露呈しやすい分野です。しかも演者との呼吸も欠かせません。さらに大事なことがあると中村さんは次のように指摘します。

コントという短い形式の喜劇は戦前の浅草の軽演劇に端を発し、戦後はやはり浅草のストリップ小屋の幕間に演じられた(略)。皮肉なことに浅草の観客にはコントを目当てに来るものは一人もいなかった。幕間をつなぐだけの短い時間にどれだけ観客の目を引きつけておけるかが即給金につながったから必死である。同じネタだが、客の反応を見ながら微妙に変えていくうちに練れてきて見ているものの心の琴線に触れるところまで来ると完成型である。(略)問題は浅草軽演劇-ストリップ幕間で育った形式というところに立ち返って考えた場合、観客の目によって練り上げられていく要素をどう取り込んでいけるかということである。

 観客の「鍛え」が何度も期待できないとすると、いまは台本の置かれた環境は厳しいというほかありません。特に1回限りの公演だと、それが先鋭的な形で表れるような気がします。


投稿者: 北嶋孝

ワンダーランド代表

「コミュニケーションズ-現代劇作家たちによるコント集」への2件のフィードバック

  1. 『コミュニケーションズ』 構成・演出 渡辺えり子 新国立劇場

     “コミュニケーション”をテーマとするオムニバス・コント集。11人の劇作家による書き下ろし台本を演出の渡辺えり子が一つにまとめ上げ、9人の役者が演じるという構成。全体的には散漫で練りに欠けるという観が拭えないが、個々に良いシークエンスは幾つかあった。  …

  2. 『コミュニケーションズ』 構成・演出 渡辺えり子 新国立劇場

     “コミュニケーション”をテーマとするオムニバス・コント集。11人の劇作家による書き下ろし台本を演出の渡辺えり子が一つにまとめ上げ、9人の役者が演じるという構成。全体的には散漫で練りに欠けるという観が拭えないが、個々に良いシークエンスは幾つかあった。  …

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