名古屋を拠点に活動している「メガトン・ロマンチッカー」の公演「モンスターとしての私」が5月25日から29日まで名古屋・東文化小劇場で開かれました。
「#10の観劇インプレス」サイトによると、「フランツ・カフカの『変身』、佐世保の小6児童殺害事件、神戸の酒鬼薔薇事件、これらをモチーフに、「少女/変身/孵化」をテーマとした舞台」。「観劇の日々」サイトのしおこんぶさんは「芝居ではあるが、嘘はどこにもなかった」と印象的なフレーズを残しています。
もう少し引用すると、「#10の観劇インプレス」サイトは次のように述べています。
劇団のWebサイトに解説が載っています。書いたのはおそらく作・演出の刈馬カオスさんと思われます。
フランツ・カフカ『変身』を原作に、毒虫を、現代に生きる少女に置き換え、
友達を殺した罪から社会復帰したときの、家族・世間のリアクションを描く構想だった。
企画書をまとめた翌日、佐世保で事件が起きた。
衝撃を受け、現実を前にひるみもした。
だが、私たちは1人の表現者として、この問題へと立ち向かうのは責務だと考えた。
賭けに出た。
佐世保の小6児童殺害事件と、酒鬼薔薇聖斗の医療少年院仮退院。
当初の構想はそのままに、2つの事件を調査し、その要素を大きく取り入れた。
かなりダイレクトにストレートに、現実の事件を想起させる描写もある。
この選択は、私たちにとってリスクには違いない。
それでも私たちは挑むのだと、覚悟した。
加害者とその家族、被害者とその家族、誰もが納得する表現を。
そんな地平はないのかもしれないが、それでも求める。
丁寧に現実を見つめ、描写することで何かを発見することができるはずだ。
演劇の力。
私たちはそれを信じる。
この作品は、
社会派であり、
エンターテイメントであり、
等身大の私たちの物語であり、
そしてあくまでも、恋愛演劇だ。
しおこんぶさんは先のサイトで「こういった戯曲(現実にあった事件を元にしたもの等)は世の中にもっとあっていい。メディアとしての演劇とでもいうか、現実を見つめなおすきっかけになる芝居は想像力を刺激する」と述べています。その意味でも、名古屋だけの公演は惜しまれます。もっと広汎な人たちが見る機会をぜひ、用意してほしいと思います。
[上演記録]
「メガトン・ロマンチッカー」の公演「モンスターとしての私」
5月25日から29日、名古屋・東文化小劇場
作+演出=刈馬カオス
Company CAST
大久保明恵
岸良端女
来々舞子
浦麗
Guest CAST
久川徳明(劇団翔航群)
ヒート猛
時田和典
茂手木桜子
織田紘子
○ スタッフ
演出助手 山崎信人
照明+舞台監督 村瀬満佐夫(劇団翔航群)
劇中映像 田中博之
音響 菊森公介
選曲+舞台美術 刈馬カオス
宣伝美術 ル・ゴウ総合美術
制作 則武鶴代 梅村卓哉
制作協力 東海シアタープロジェクト
プロデューサー 大橋敦史(東海シアタープロジェクト)
企画・製作 メガトン・ロマンチッカー
○ 協力
松井組
シネマパルチザン
奥林劇団
猫足企画
田原幸二
デンキヒツジ(立体交差中心)