現代演劇ユニットFragile の第9回公演「塔」が5月25日から31日まで東京のこまばアゴラ劇場で開かれました。都内の小劇場を休みなく見歩いている「デジログからあなろぐ」サイトの吉俊さんが取り上げています。ちょっと時間がたってしまったのが悔やまれますが、こんな記述で舞台の紹介を始めています。
この滑車を中心に描かれている舞台空間の統一感と完成度、それを支える照明、音響というスタッフワークの力強さ・・・全ての質を限りなく高め、そこから始まる物語への予感を高めてくれる。
劇場に入った瞬間に感じたその想い・・・私の期待は期待以上に高まっていきました。
この演劇ユニットは「THE・ガジラ主宰鐘下辰男氏によるワークショップ『塵の徒党』に参加した小里清(Playwriter)、桜井秀峰(Director)、渡辺陽介 (Player) によって98年に結成」されたそうです。作・演出の小里さんは2004年度岸田戯曲賞の最終候補になるほどの期待の新鋭です。小里さんはFragile のWebサイトで「真理や教訓を掲げるのではなく、私たちの考える社会の在り様、人間の実相を提示することで、道標を失った現代を生きる人々の意識に波紋を投げかけられる石となれればと願っています」と書いています。
吉俊さんの期待は外れなかったようです。次のような感想を記していました。
このビルには、世界中の企業や偉人が入居していて、言わば世界を動かしている建物であるという・・・そして、そのビルのエレベーターは世界の骨髄であり、その管理室は脳ではないか・・・それを管理し、保守している我々のお陰で社会が成り立っているのではないか?・・・なのに何故、自分達はこんな惨めな思いをしているのであろうか?
抑圧された人たちが巡らす極端な思想の展開・・・アメリカの同時多発テロのモチーフを借りて収斂していくエンディングは秀逸でした、鳥肌~。
[上演記録]
Fragile 第9回公演「塔」東京・こまばアゴラ劇場(5月25日-31日)
劇作・演出 小里清
出演
渡辺陽介/横畠愛希子(マンションマンション)・井上幸太郎・泉陽二・
有川マコト(絶対王様)・明樹由佳(La Compagnie A-n)
FRAGILE『塔』
駒場アゴラ劇場にて、フラジャイルの第9回公演「塔」を見てまいりました。 舞台中央に鎮座する巨大な滑車・・・そこは111階建ての高層ビルの最上階の上、エレベーターの管理室である。 この滑車を中心に描かれている舞台空間の統一感と完成度、それを支える照明、音響…