橋口幸絵さん(劇団千年王國)が最優秀賞 若手演出家コンクール2005

 若手演出家コンクール2005(日本演出者協会主催)の公開審査会が5日開かれ、最終審査(優秀賞)に残った4人の中から、「古事記-イザナギとイザナミ」を作・演出した橋口幸絵さん(劇団千年王國)が最優秀賞に選ばれました。賞金50万円。来年都内で受賞記念公演が開かれる予定です。全4作品をみた観客が投票する観客賞も橋口さんとなり、ダブル受賞でした。


 同協会によると、今回は全国から85人が応募。1次2次審査で選ばれた優秀賞受賞者4人が上演時間1時間の作品を2月28日から3月5日まで東京・下北沢の「劇」小劇場で2ステージずつ公演。優秀賞はほかに、石橋和加子さん(コスモル)「桃湯~ももゆ~」(神奈川)、笠井友仁さん(hmp)「traveler」(大阪)、前川知大さん(イキウメ)「トロイメライ」(東京)でした。

 審査会に出席できず、議論のようすを紹介できないのが残念です。
 石橋さんの作品は未見ですが、ほかの3作を見た限り、橋口作品は評価が難しいのではないかと個人的に考えていました。演出をみせるステージなのに、笛や太鼓を演奏する音楽家と時に絡み合いながらも、主演女優がイザナギとイザナミを演じる1人芝居に近い内容だったからです。しかし衣装に工夫があり、役や場面、性格を演じ分けるときの使い方が光っていました。演奏も古代の設定に合っています。舞台全体のバランスも考えられていて、総合点が評価されたのかもしれません。

 笠井作品は、左右に分かれた男女が闇の空間を息を長く吐き出しながらゆっくり歩くシーンから始まりました。上手と下手に分かれた男女が、ハーッ、ハーッとスローモーションのように動いていると、未明の闇が水底の藻のように揺れるイメージに重なります。照明も印象的で、光と影、動と静、人とモノとの対比も配慮され、駅や汽車、旅館や雑踏など旅の場面が次々に縫い合わされるパフォーマンス作品に仕上がっていました。

 前川作品は「意識不明のまま三年間を過ごし、自分の誕生日に息を引き取った女。葬式で夫の前に現れたのは、妻の最後の三年間を共に過ごしたという男だった。」(劇団webサイト)というミステリアスな味を持っています。記憶の謎と、夫婦、恋人の間に生まれる愛情が切なく交差する会話劇です。見事な「作」ですが、テキストの出来映えが逆に「演出」の余地を狭めたのかもしれません。イキウメ番外公演「短編集Vol.1 図書館的人生」(新宿のサンモールスタジオ、3月15日-21日)で、この「トロイメライ」を含む5つの物語が上演される予定です。


投稿者: 北嶋孝

ワンダーランド代表

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