横浜ダンス界隈#3

 「街のあちこちにダンスが溢れる」-「横浜ダンス界隈#3」が3月29日夜、こんなキャッチコピーを掲げて、横浜・馬車道周辺の歴史的建造物や店舗、カフェ、街路など7カ所で開かれました。この催しは「これまで番外編を含め3回開催 … “横浜ダンス界隈#3” の続きを読む

 「街のあちこちにダンスが溢れる」-「横浜ダンス界隈#3」が3月29日夜、こんなキャッチコピーを掲げて、横浜・馬車道周辺の歴史的建造物や店舗、カフェ、街路など7カ所で開かれました。この催しは「これまで番外編を含め3回開催し、街とアートとの新しい関係を探るプログラム」(企画書)。今回は9カンパニーが参加しました。
 「Sato Site on the Web Side」は「ぼくは番外編を含め三回見たことになる。どれも実に面白かった。ダンスを見る場所は劇場やスタジオとは限らない、いやそうした場所じゃない方がいいことは多いのでは、という強いく思わされた企画でもあった」と場所を生かした企画を評価しています。


 最初の金魚(鈴木ユキオ)『Focus-ミルク-』は、神奈川県立歴史博物館の横スペースでダンス。10分あまり遅刻して最後のわずかなパフォーマンスしか見られませんでしたが、
「Sato Site on the Web Side」によると、「動物の置物のように四つんばいで腕と首だけ機械的に動かす男の子二人を後景に、女の子が無関係に立っているところからはじまる。無関係のところで二つを繋ぐのは、気配への気づき。でも、「気づく」だけでは関係が転がっては行かない。この転がる手前のもじもじしたような時間だけが過ぎていく。最初、逆さにしたテーブルの上に仰向けに寝ていた鈴木が「無理矢理!」な感じで垂直に伸びたテーブルの脚のてっぺんに自分の両手と両足をのせていく。無理矢理よつんばいに起きあがった体は、起きあがれた成功もそこそこに片足片腕を宙にバランスを失い墜落する。最近の鈴木がよくする物とのからみは、体の強さを示しつつその強さが無意味に消費されていく虚しさのようなものを伝える、今回もそれが凄く感じられた。閉塞感、と言ってしまうとつまらなくなるけれど、あてのないむなしい可能性をただただ蕩尽する他ないといった気持ちにさせられる」と述べています。

 次の「フリーター・コンプレックス」は桜美林大学出身の若手ダンスカンパニー、モモンガ・コンプレックスのベースになる7、8人のほか、十数人が加わる集団街頭ダンス。「道を隔ててこっち側が観客(しかも大入り200人くらい?)で、反対側が舞台アンド背景ということは、本物の眼鏡屋とかラーメン屋とかカレー屋とかがそこにあるわけで、正に『サイトスペシフィック』な作品であったし、そのあたりをかなり考えて作ったことでほんとに楽しい時間になった。眼鏡屋の看板おばさん(もちろん眼鏡掛けてる)がこっち見ているのをこっちから見ているってことがもう本当におかしかった。界隈の真骨頂を見たって感じ」という。商店街を舞台として使いこなした振付・演出も冴え、衣装よし、踊りよしのリズミカルなひとときでした。

 旧富士銀行の建物はBankArt1929馬車道として親しまれてきましたが、今年度から東京芸術大学横浜キャンパスとして再出発しました。そこを拝借したのは中野成樹(POOL-5)+フランケンズの面々。海外の有名戯曲を1本丸ごと、せりふなしで演じて見せました。チョッキ(ベスト)で決めた中野さんが女性にアプローチしたりしたのですが、確かに最後は女性が立ち去ります。シェークスピア、モリエール、それとも…。何を演じたか、その場に居合わせたチェルフィッチュの岡田利規さんに尋ねたら「うん、最後に女性が出て行ったので分かった」そうです。乏しい知識で考えると、北欧の有名な作家の作品かもしれないと思いました。

 あとは矢内原美邦(ニブロール)『チョコレート』らが続きます。詳しくは、「Sato Site on the Web Side」をご覧ください。

 建造物の所有者、管理者と話をつけ、イベントへの協力を取り付けるのは大変な作業だと思います。これを継続しているのですから、主催者の努力と熱意に頭が下がります。モモンガコンプレックスのパフォーマンスはそれに応える最良の果実ではないでしょうか。

 それにしても、冷え込んだ夜に二百人を超える人たちが参加しました。寒さにふるえはしましたが、それにもまして、街とアーチストの思いがけないコラボレーションに立ち会うことが出来たと思います。


投稿者: 北嶋孝

ワンダーランド代表

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