劇団idiot savant 公演 「馴れあう観客」が新宿・タイニイアリスで開かれました(4月7日-9日)。作・演出の恒十絲さんと俳優の朱尾尚生さんにインタビューしたのに、日程のやりくりが出来ず肝心の舞台を見逃してしまいました。残念でしたが、ネット上でレビューを読むことが出来たので、そのいくつかを紹介します。
「元脚本家の神出鬼没な劇評」という自己紹介通り、横浜から東京の端々まで「神出鬼没」の「のっぱさんの観劇日誌」がこの公演を取り上げています。
セリフを一切使わないで、うめき声と効果音としてのノイズ音、奇怪な動きによる前衛的なパフォーマンスアートという感じ。途中で挿入される映像は、丁寧に編集されていた。(中略)たった一つの照明を思い切って客席に向ける、演者が客席を指しながら大声で嘲笑するなど、この作品中では客席は安全な場所ではない。むしろ、観客自身がそれぞれに抱く、いろいろな感情(=主に嫌悪感だったけれども)が、この公演のもたらすものかもしれない。観客を能動的にさせるパフォーマンスである。
タイトル通り「観客との関係」自体をモチーフにしたパフォーマンスだったようです。「忘れたくないこと」は同じ場面を次のように述べています。
狭い小屋ギュウギュウのお客で埋め尽くされ、
人の熱気でちょっと酸欠気味。
なんていうか、意味わからなかったけど、とても面白かった。興奮した。
帰宅して、思わず「馴れあう」って意味を調べてしまった。
馴れあう・・・1 互いに親しむ。
2 共謀して悪事をたくらむ。ぐるになって他をあざむく。
3 男女が情を通じ合う。(中略)
ふいにそのスタンドライトが客席に向けられて、舞台が見えなくなる。
っていうか、ウチラ観客が見られている立場に。
場面によっては、演者達は束になって私達のことを指さし嘲笑う。
おちおち、居眠りなんてしていられない。なんと攻撃的な舞台だろう。
そういった意味では、演者は2の意味で観客と“馴れあい”、
観客は1の意味で演者と“馴れあった”のかもしれない。
この舞台に、意味があるのか、メッセージがあるのか、
そしてそれが何なのか、私にはさっぱりわからなかったけれど、
惹きこまれた。身体が緊張して痛くなった。
「身体が緊張して痛くなった」というのは、率直な感想だったように思えます。
「enjoylife」は、ちょっと別の観点からこんな感想を書き留めていました。
おびえるという・・・もの凄い斬新な演出。
途中、これは人間の体内にあるネガティブな細胞を・・
人間が細胞役となり、表現しているのだと思った。
救いのない絶望を表現している舞台だったので
逆にやる気がわいたし
表現は自由だということに気がつけた。
インタビューは、タイニイアリスのwebサイトに掲載されています。とてもおもしろかったので、みなさんもご一読ください。またアリスフェスティバル2006への参加が決まり、来年1月に公演が予定されているようです。
[上演記録]
劇団イディオ・サヴァン第1回公演「馴れあう観客」
新宿・タイニイアリス(4月7日-9日)
作・演出 _ 恒十絲
出演 _ 朱尾尚生 藤田健彦(顛覆劇場) 白井緋沙子(フェイムステージ) 日野有紀 福田正博 えみり~ 真由美 RIKI CHIE(クロイツ・ダンスアート) ……ほか
照明デザイン _ 柳田充(Lighting Terrace LEPUS)
舞台監督 _ 小林英雄(Anjuta Arts)
舞台美術 _ 池原哲男(NextLanguageFactory ‘NLF’)
映像編集 _ ガエ(IS support)
音響 _ 筧良太(SoundCube)
宣伝写真 _ 花村英博(H.S HANAMURA STUDIO)
照明操作 _ 長尾裕介(Lighting Terrace LEPUS)
映像操作 _ 砂原抽木
衣装 _ 紫 広越ナオ
宣伝美術 _ NK(With JMY)
WEB _ 舟津何哉
演出助手 _ 大野悠生 R・フレッド
制作 _ 高崎都
協力 湯本綾子 佐名木仁 葛西やし子 リチャード酒井 佐藤浩二(メインストリート)