イキウメ「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」

◎劇評を書くセミナー 東京芸術劇場コース 第4回 報告と課題劇評

「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」公演チラシ
「The Library of Life まとめ*
図書館的人生(上)」公演チラシ

 劇評セミナー第4回は2012年12月7日(金) 19:00から東京芸術劇場ミーティングルームで開かれました。取り上げた公演はイキウメ「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」、講師は佐々木敦さん(批評家)でした。提出された課題劇評は計11本。佐々木さんは執筆者の意見を聞きながら各原稿の特徴、劇評のあり方などを展開して、あっという間に時間が過ぎました。後日いただいた佐々木さんのコメントとともに、筆者の了解を得た原稿を次に掲載します。(編集部)

講師:佐々木敦(批評家)
課題:イキウメ「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」(2012年11月16日-12月2日)
合評:12月7日(金) 19:00-21:30
会場:東京芸術劇場ミーティングルーム7(同劇場6階)

【課題劇評】
1.世界が二分する時(工藤優希)
2.図書館でみたいものを探すということ(くどうさやか)>>
3.つながる世界(小林 まき)
4.広がる感覚と美しい生き様(竹之内葉子)>>
5.図書館は異界の入口(澤田悦子)>>
6.人類は大別してジグソーパズル好きとそうでない者に分けられる。そしてジグソーパズルもまた一種類だけではない(大泉尚子)>>
7.「人生」のない図書館(小田幸子)>>
8.稽古場が見てみたい(小泉 うめ)>>
9.命の記録、あるいは閻魔帳の図書館の物語(吉田季実子)>>
10. 考えなくていい物語(別府桃子)
11.「生きる」からの解脱(中村直樹)

*掲載は到着順。一連番号を付けた。
*筆者名はタイトルのあとの丸括弧内に入れた。

セミナーを終えて 佐々木 敦(批評家)

 作品の成り立ちや構造が複雑なので、どんな劇評が書かれてくるだろうかと少し心配していたのだが、いざフタを開けてみると、俄か講師の予想などはるかに超えた、かなりレヴェルの高いレビューが揃っていて、一言でいうと感心させられた。
 よく言われることだが、インターネットや携帯電話によって、日本人は昔より文章を書くようになっている、その成果なのか偶々質の高い受講生だったのかはわからないが、文章の次元で根本的に問題がある人はひとりも居なかった。どれも読みやすく、勘所を心得ており、一定のレベルは超えている。
 また、内容的にも、一読してトンデモな主張はなかった。作品について、それはちょっと苦笑、というようなものは皆無であった。
 だとしたら次の段階は、書き手としての個性の追求ということになるだろうか。その萌芽がうかがえる劇評も幾つもあったと思う。
 では、それはどうやったらいいのか、という点については、セミナーや批評講座に参加してくれた方だけにお話しているヒミツなので、ここでは述べない。
 セミナーでも繰り返し言ったが、舞台を評するということ、それを文章に仕立て上げるということは、他のジャンルについてそれをすることと、大きく異なるところが多々ある。そのことを意識しつつ、しかしそれに足を掬われないようにして、絶えず未知なる読み手のことを想定しながら、そして自分自身が楽しみながら、書いていってください。

【上演記録】
イキウメ「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」(東京芸術劇場リニューアル記念)
東京芸術劇場 シアターイースト(2012年11月16日-12月02日)(東京芸術劇場リニューアル記念 フェスティバルトーキョー連携プログラム)
作・演出:前川知大
上演予定時間:一幕 2時間15分

出演
浜田信也 盛 隆二 岩本幸子 伊勢佳世 森下 創 大窪人衛 加茂杏子 安井順平
/ 菊池明明 西山聖了

料金 : 前売4,200 円 / 当日4,400円(全席指定・税込)
※未就学児童入場不可。

イキウメ・東京芸術劇場シアターイースト公演 バックステージツアー
2012年11月25日 (日)16:00 (所要時間は1時間程度)

運営協力:サンライズプロモーション東京
後援:TOKYO FM
提携:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
主催 : イキウメ / エッチビイ
助成:文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)

[大阪公演]
ABCホール(12月7日-9日)
運営協力 : サンライズプロモーション大阪
主催 : イキウメ / エッチビイ

[北九州公演]
北九州芸術劇場 中劇場(12月16日)
提携:北九州芸術劇場
主催 : イキウメ / エッチビイ
北九州芸術劇場インタビュー(前川)>>

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