◎劇評を書くセミナー 東京芸術劇場コース2014 第2回 報告と課題劇評
劇評を書くセミナー2014第2回を7月5日に東京芸術劇場ミーティングルームで行いました。劇評の対象とした公演は、マームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと—–」です。この公演は早い時期にチケットが売り切れたということでしたが、セミナーの方も、早くから申込みが相次ぎました。
講師は徳永京子さん。「劇評とは?」に始まり「『見ていない人にも伝わるように書く』ことがまず最初に意識すべきこと」など全般的なアドバイスから、当日までに集まった劇評16本に対する具体的な指摘と助言へと続きました。
参加者からは「誰かを批判しようと思うなら、自分は安全なところにいて批判するのではなくて、『わが身を切る』内容でなければと思うのだが」「作品に対して『こうしてほしかった、こうならよかった』というのは劇評として成立するのか?」など、刺激に満ちた質問も投げかけられました。多くの課題劇評が提出されたこともあり、質問を受けてじっくり意見交換するには時間が足りない2時間半となりました。
筆者の了解を得られた劇評を掲載します。(編集部)
課題公演:マームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと———-」
日時:2014年7月5日(土)14:00-16:30
会場:東京芸術劇場ミーティングルーム7(6階)
講師:徳永京子さん(演劇ジャーナリスト)
【課題原稿】
1.喪失と反復、ちっこい、ちゃぶ台、このーーー(小池正之)→
2.演出家としての才能は光っていた(米川青馬)
3.故郷を想う(小林まき)
4.劇は記憶となり、記憶は収斂する(伊澤拓人)→
5.マームの不在↑↑↑ジプシーの希望(寺谷篤人)→
6.出ていく女、とどまる男——父性の死から始まる物語(水牛健太郎)→
7.セピア色の食卓(鈴木七奈子)→
8.集大成、通過。その先に訪れるもの(齋藤理一郎)→
9.記憶の中へ帰ろう。そして、—–(中村直樹)→
10.かつて「海」と「母」は同じ言葉であった/「海」という字は「母」という字を包み「海」という音が「産み」という音に重なる/〜旅人になった子どもたちのソネット〜(小泉うめ)
11.「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと———-」(豊崎由美)
12.子供からの脱却(齋藤礼華)
13.記憶の不思議に浸る(福原 幹之)→
14.まだある帰る場所と、これから見つけなきゃならない待っててくれる場所の事(黒田可菜)
15.振り返れば、ゆがんだ記憶がある。それは想い出。(でんないいっこう)
16.私たちの帰る場所(丸山浩木)
*到着順に一連番号をつけた。
*タイトルは原文のまま。筆者名は丸括弧内に入れた。
*観劇日時は末尾の括弧内に入れた。
*セミナー当日合評された劇評を再度チェックしてもらった上、了解を得たものを掲載。
【上演記録】
マームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと———-」
東京芸術劇場シアターイースト(2014年6月8日-22日)
作・演出 藤田貴大
出演
石井亮介 伊東茄那 荻原綾 尾野島慎太朗 川崎ゆり子 斎藤章子 中島広隆 成田亜佑美 波佐谷聡 召田実子 吉田聡子
舞台監督:森山香緒梨
舞台監督助手:加藤唯、丸山賢一
音響:角田里枝
照明:南香織
照明オペレーター:伊藤侑貴
衣装:スズキタカユキ(suzuki takayuki)
演出助手:小椋史子
当日パンフレット:青柳いづみ
宣伝美術:本橋若子
制作:林香菜、古閑詩織
主催:マームとジプシー
共催:東京芸術劇場
提携:(公益財団法人東京都歴史文化財団)芸術文化振興基金
助成:公益財団法人セゾン文化財団
チケット料金
前売り・予約|3,000円 当日券|3,500円 高校生以下 前売り・予約とも1,000円